□宣言
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 ある日突然



今日は久しぶりに任務がなかったから食堂でいつものように蕎麦(暖かい蕎麦)を食ってると、目の前に急に何かが立ちはだかった。



「なんだよ、人が飯食ってるときに」



同じ班の・・・ただそれだけの関係だ




『私は神田が好きだ』  


「はぁっ?!」


思わず蕎麦を噴き出しそうになった
そんなこと言われるとは思ってもみなかった
でもコイツの目はいつになく真剣だったが、
俺はさっきも言った通り同じ班だってことだけで別になんとも思っていない


「俺は好きじゃ


『お前は私を好きになる、絶対』


断ろうとしたら間髪いれずにありえないことを宣言された


『神田ユウは私のことを絶対好きになる』


もう一度一言一言区切るように言い放つと、あっさり踵を返し、どこかへ行ってしまったアイツ


「なんだ、アイツ・・・」


突然のことでわけがわからなかったが、
頭のなかにはアイツの言葉が焼きついた



それからとはいうものの、
その言葉は頭に焼きついたままで、
気がつけばアイツを目で追ってる自分がいた

プライドがやたら高く気丈に振舞って、
でも、傲慢ではなくて、いつも周りには人が耐えない
感情をあまり顔に出さないイメージがあったが、笑うときもある

いつもよりアイツを見る時間が長くなって、いろいろなことがわかった
わかりたくないのにわかってしまう自分に腹立たしさを覚えた

これもあの言葉のせいだ、

しかし、好きなんて感情は沸いてこない

ただいつもより意識してしまっているだけだ

アイツがどんなヤツかわかっただけだ、なんの感情もない

ないはずだ、ないはずなんだ


なのに




気丈でプライドが高いアイツが泣いているところを見つけた

何がそんなに悲しいかわからない

でも、コイツでも泣くんだなと漠然に思っただけに留めたつもりだったが、

すごく気になって、胸のあたりがザワザワと騒いだ。

俺には関係がない、だから何もしない、そう思っていたはずなのに、いつの間にか手を伸ばしている自分がいたわけだ



こうして、俺はコイツの呪文のような言葉に見事俺は引っかかっていたんだ。







「俺はお前を好きかもしれない」






強制END

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