黒バス&その他&おお振り
□じてんしゃ
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ガシャアアアン!!!
放課後、帰宅部の私は帰ろうと自転車置き場に歩を進めていたら、向こうの方からなにかを倒したような盛大な音がした。
それはけっこう長い間して、何事かと思って地面をひたすら見ていた目線を音のしたほうへ向けた。
そうすると、音がしたのはどうやら自転車置き場かららしく、けっこうな距離に渡ってドミノ倒しをしたように綺麗に自転車が倒れていた。
あぁ、誰かが自転車たおしちゃったのか…
歩みは止めずぼんやりと眺めていると、倒れた自転車のスタート地点に一人男子が頭を掻きながら立っていた。
たぶんあの人が倒した人なのだろう。
しばらくそうしているとがっくりと肩を落としてから、倒した自転車を起こし始めた。
私も自転車を倒したときがあるが、あれはなかなかの重労働だ。
どうしよう……手伝ったほうがいいかな…
私の前を歩く人たちは何人もいたが、ちらっと彼に目を向けるとそのまま通りすぎてしまう。
私も味わったことがある。
他人のために自転車をおこすなんてめんどうなことなので、通りすがる人はみんな手伝おうとしないので、すごく世間の冷たさが身にしみる。
その思いを知ってる私は手伝ってあげたいと思うのだが、勇気が出ない。
知らない人に声かけるなんてことすら、人見知りの私にはハードルが高い。
ずるずると思い悩んでいると、いつのまにか彼の横まできてしまった。
あぁ、どうしようどうしよう…手伝いたいのに…
一歩が踏み出せない。
そうこうしてる間に通りすぎてしまった。
なんてやつだ、私は
彼をちらっと見れば自転車を起こすのに苦戦してるのかなかなか作業がはかどっていない。
私も同じになってしまった
いや、いまならまだ間に合う、はやく手伝いに…
でも、勇気が…
通りすぎてしまった後悔と罪悪感、それでもまだ勇気を出したい自分がいて頭んなかで葛藤していると自然に歩みがゆっくりになって、やがて止まった。
がんばれ、私
勇気だせって…
「……ッ」
私は思いきって、身体の向きをかえた。
「あ、あの!て…て、手伝います…っ!」
思いきって、ほんとに思いきって言った。というより、半分叫んだ。力んでしまったせいか、思いのほか大きな声になってしまった。
恥ずかしくなって、相手の返答を待たずに自転車を起こし始めた。
あぁ、恥ずかしい…
相手の様子が気になったので、自転車を起こしながら彼のほうをこっそりと見たら、驚いた顔をして呆気にとられていた。
やっちゃったかな
と思ってたら、ふっと微笑んで
「ありがとう」
柔らかい声でそう言って、自転車を起こす作業を再開した。
なんでだろう、自転車を起こすのが思いのほか重労働なせいだろうか、顔が熱い…
「ほんとにありがとう、助かったよ」
「い、いや、あの、お役にたててうれしいです…」
ようやく最後の自転車を起こし終えると、彼は改めてお礼を言ってくれた。
なんだか緊張してしまって、私はそれをうつむいて妙に変な言い方の返事をしてしまった。
「えっと…じゃぁ、私、これで…」
なんだか居たたまれなくなって、私は逃げるようにそこから去ろうとした。
けれど、突然腕を掴まれた。
びっくりして振り向けば、彼は心なしか頬を赤く染め、なんだか気合の入ったような顔して私の腕を掴んでいた。
「あ、あの、俺、1年1組の栄口っていうんだけど、すごい助かったしちゃんとお礼もしたいから…その、よかったらメアド、お、教えてくれないかな…?」
この人、栄口っていうのか…
「私、2年なんだけど…」
「えっ!!」
「わ、私でいいのなら…お願いします」
私は栄口くんが1年なのにびっくりして、
栄口くんは私が2年なのにびっくりしていて、
それがなんだかおかしくて笑っちゃったけど、
顔が熱いのと心臓がバクバクうるさいのはなかなか収まってくれなかった。
END
んー…もうちょっとうまくかきたかった。
セリフがあんまりないっていうww
学校帰りに、自転車置き場で自転車をドミノ倒しした高校生の男の子を見かけて、手伝ってあげたかったけど私の場合は最後まで勇気がでませんでした。
まぁ、そういうことがあって、それをネタにしてみました。