黒バス&その他&おお振り 

□ロリータろりーたコンプレックス
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俺の好きな人は
腰まで伸びた綺麗な髪で
綺麗なビー玉みたいなくりくりした目で
真っ白な雪みたいに肌が白くて
唇だってきっと彼女は化粧なんてしてないんだろうけど荒れてなくふっくらとした真っ赤で
それからめったにしゃべらないけれど、透き通った声をしていて…


いいところをあげたらキリがない

まるで人形みたいな子だ


好きで好きでたまらないんだけど、席も離れてるし、そもそも彼女に積極的に話しかけれるほど俺は出来がよくない
だからずっと微妙な距離から眺めてるだけ


たまらず準さんに相談したら、腹を抱えて笑われた
そのあと、付き合いたいって思ってるんだったらまずは話すところからだな
て、もっともらしい意見をくれた

それができたら苦労ない


でも、最近はなんとか頑張って『おはよう』だけは毎朝言えるようになった
向こうも


「お…おはよう…」


恥ずかしそう小さなその透き通る声で返してくれるようになって、

また好きになった


どうしても距離を縮めたくて、また準さんに相談したら、


「遊びにでも誘ってみたら」


て、ニヤニヤして言われた

メアド聞くのすっ飛ばして遊びに誘えって…
つか、遊びにってイコールデートじゃんか。チキンな俺にそんなこと言うのか
だいたい挨拶くらいしかしゃべってないって言ってんじゃん


「だったらメアド、先に聞いたら」


…和さんに相談すればよかった、なんでこの人にしたんだろ、俺…


「まっ、お前がそのままでいたいんだったら別にいいけど?」


またニヤッと人の悪い笑みを浮べて言った準さんの言葉は
今度は胸をえぐった



次の日になっても準さんの言葉が胸に突き刺さったまま
悩んでいるまに放課後、下駄箱んとこで偶然、彼女とあった

このときだけはだれもいなくて
心臓の音が耳につくほど大きくなった

どうしようどうしよう
こんなのめったにない
あぁ、彼女が行ってしまう
どうしようどうしよう


「あ、あの…っ」


ついに声をかけてしまった
少しびっくりしたビー玉みたいな目がこっちに向く


「私…?」

「う、うん、そう…そう…っ」


もう戻れない やっぱなんでもない、はだめだ
でも、なに言えばいいんだ、なに話せばいいんだよ…
そうだ、メアド…メアド聞かないと…


「あ、あの…さ、もしよかったらでいいんだけど、メ…ぁ……っ、お、俺と、遊びに行ってもらっても…いいですか?」

「え…」


遊びに誘っちゃった…!!
すっ飛ばした、かなりすっ飛ばしたっ
うわ…引いてる、これ絶対引かれた…!!


「や、やっぱりなんで「い…いい…けど…」

へ…あっ、マジで?」


彼女の思いもしなかった返事に息がつまりそうで、心臓もさっきの倍うるさい
信じられなくて、そう聞いたら彼女は真っ赤になりながら頷いてくれた


「あ…でも…私服…が…変…」

「別にいいよ、そんなの!!俺も変だからっていうか、まず私服とか全然気にしないし!!」

「ほ…ほんとに?」

「ほんとに!俺は遊びに行ってもらえるだけで嬉しいんだ…から…あっ、いや…そのー、あっ、時間とか決めたいからさ、メアド教えてもらってもいい?」

「……うん…」


順番がおかしくなったけどメアドもゲットして、
いろいろすっ飛ばしたけど、夢にまで見た大きな進歩に俺はものすごい舞い上がった

部活があって彼女とはそこで別れたけど、そのあとも舞い上がったままで準さんを始めみんなに顔がキモイって言われたけど、気にならなかったくらいだ

それから家に帰ったら早速メールして、遊ぶ場所や待ち合わせの場所などいろいろ決めた



「お前、最近顔が緩みっぱなしだぞ」


クラスの友達にも部活のみんなと同じようなことを言われた
俺はまだ舞い上がったままだ


「そういえばあの子、友達から聞いたんだけど、私服すごいらしいぜ?」


「はっ?」


確か…彼女も自分の私服、変って言ってたけど…


「すっげぇロリータだって」

「ロリータ?」

「ゴスロリとかあんじゃん、あぁいうの。一回さ、その友達が遊びに誘ったらピンクのロリータ服できたらしくてさぁ…しかもフリルのかさまでご丁寧にさして。確かに顔はかわいいが、その服はさすがに引いたって言ってたぜ?」

「へ、へぇ…そうなんだ」


つか、俺より先に誘ったやついたんだ…


「お前、恥かく前にやめたら?そりゃぁ、顔はかわいいけどさ…」

「なんで恥かくんだよ?それに顔だけで好きになったんじゃねぇし」

「まっ、べつに利央がそう言うならいいけど。俺は忠告したぜ」

「絶対やめねぇもん」


そうだ、せっかく遊びに誘えたんだ、やめてたまるか
だいたいなんだ、その言い方…ゴスロリとかロリータとかいまいちわかんねぇけど、その友達、腹立つな…


****

約束の当日、
空は真っ青、まだ夏じゃなかったけど晒された太陽の光は暑かった

舞い上がって、緊張して、これでもかってほど気合入れて服とか選んでたら、遅刻してしまった
最悪だ…
俺から誘ったのに、遅れるなんて…
待ち合わせ場所は日陰のない場所だから、きっと彼女はつらい思いをしてるに違いない


「はぁ…っ、やっと、着いた…」


待ち合わせの場所が見えた
ずっと走ってきたから少し走る速度を落とす
段々近づくと待たせてしまった彼女の姿が見えた


「あ…」


彼女に姿に思わず足を止めた

彼女の姿はまるで外国の人形みたいな格好をしていて、友達の言ってたことを思い出した
あぁ、これがロリータってやつか…

俺は止めた足を彼女に向かって動かす

引いた…
引いた?そんなことあるか、ものすごいかわいい
なんで恥かくのは俺なんだよ、かかせちゃうの俺じゃんか…

ぐしゃぐしゃな髪を少しでもマシになるように撫で付けながら、彼女の前に恐れ多いながら立つ


「待たせてごめん!!」

「あ…」


彼女は顔を上げずに小さく頭を横に振ってくれた
なぜだか唇が震えてる


「本当ごめん!!こんなつもりじゃなかったんだけど…」

「だ…大丈夫……あ、あの…ごめん、なさい…」

「なんで?謝ること一つもないのに…」

「服…」


あぁ…そっか


俺は
彼女に
手を差し伸べる



「失礼します。お姫様、お手を」


「あ…」



泣きそうだった顔が

一瞬驚いて


花のような笑顔になった


その花のような笑顔を守れるような男になれるのかな…

て、思ったり…





END


長かったです。
この長さ、拍手でやるやつではありませんね;
しかも、利央の最後のセリフがくさい…っ!!
なんかわけのわからないものになってしまいました

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