黒バス&その他&おお振り 

□彼岸花
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隠の王より雷光

ソファーに座る雷光さんを見つけた。

『雷光さん、髪ピンクに染めたんですね』


「あぁ、ダサくていいだろ?」


『確かにいいですね、いい色に染まってます』


ふわっとしたピンク色の髪を触ると小さく笑う雷光さん。

たまらず後ろから雷光さんの首に手を回す私。


「どうしたんだい?」


顔をこちらに向けた雷光さんは微笑んでいて、さらに抱きつく私。


『・・・・・・いえ・・・・・・なんとなく・・・』


「そうか・・・あまり強く締めてくれるな、苦しい」


『すみません・・・』


苦笑する雷光さん。
力を弱めないでいる私の目に彼の手にある彼岸花。


『雷光さん・・・・・・好きです・・・』


「私もだよ」


苦笑から微笑へ。
私の手の力を簡単にほどく雷光さん。
離れた自分の手に虚無感を覚える私。

虚無感を抱える私の手はしばらく宙に浮かぶ。


「きれいだよ」


微笑から笑顔へ。
雷光さんの手にあった彼岸花が私の髪に。


『どっちが・・・』


「さらにきれいになったよ」


彼岸花
真っ赤な真っ赤な血のように赤い花

花言葉は悲しい思い出、情熱、恐怖、想うはあなた一人

悲しい思い出

情熱

恐怖

想うはあなた一人


『どれですか・・・?』


ぼやりと聞いている私。

笑顔から微笑へ。


「なにがだい?」


『・・・・・・・・・いえ・・・私も彼岸花、好きです』


「それは嬉しいね」


『雷光さんも好きです』


もう一度言う私。
そしたら、クスリと笑う雷光さん。
ピンク色の髪がわずかに揺れた。



「さっき聞いたよ。・・・こちらにおいでな」


両手を広げる雷光さん。
誘われたように回り込んで広げた両手のなかに飛び込む私。


『想うはあなた一人だけです・・・』




無性に涙が溢れる私。


彼岸花の香りがした気がしたのは気のせいか







end

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