オリジナルノベル

□神眼
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廃ビルの屋上・・

二人の男が対峙している

手には獲物。

一方は真っ黒い刀身の短刀・・

もう一方は光輝くような目映い白い短刀・・

一人が言葉を発した。

「お前も適合者だな。」

確信していた・・。異能の力を保有しているのだと。

もう一方も答える

「あぁ。さっさと殺り合おう。今日は久々に楽しめそうだ。」

その男の眼は朱い瞳。血のように朱い・・鮮やかだった。

「名前くらい名乗れよ。知らんヤツは殺さん主義だからな。」

「くく・・成る程。いいぜ。俺は・・暗殺師団『蟲』のサキ。」

朱い眼の男が名乗る・・

「驚いたな・・お前があの『蝶』だったのか。俺も名前くらい名乗るか。俺はレン。しがない何でも屋だよ」

レンの黒い瞳がサキを見据える・・

「黒いな・・。普通の黒じゃない。底が見えない黒・・。お前のその眼も神眼なんだろ?」

にやけながらサキが口を挟む

「勿論だ。俺も神具を手にしているんだからな。」

「くく・・。そうだな。しかし、黒い瞳に白い神具か。面白い」

「お前の血のように朱い眼も面白いけどな。さて、御託は終わりだ。さっさと済まそうぜ・・」

殺気を含んだ瞳が交差する・・

ザザッ・・

刹那。火花と閃光が飛び交う。

常人には見えぬであろう速さ。適合者ならではの衝突・・

そんな中、二人の男は笑っていた。これ以上は無いというからい楽しそうに・・

「実に面白いな。その閃光の神具。俺のとは正反対だ・・。」

彼らは雑談しながらも死合を楽しんでいる・・

いかに達人の域に達していたとしても、死を前にしては緊張の一つもするに違いない

だが彼らは死そのものを楽しんでいる・・

それは彼らが達人の域すらも超越している事を意味していた。

「チッ!?厄介な神具だな!?テメェの真っ黒い神具はよ!」

(夜はヤツの所有空間・・。マズイな。明らかに不利だ。)

「夜という世界で俺に勝てる者は存在しない。俺がこの『黒揚羽』を手にしている限りはな・・」

「確かにヤバいなぁ。夜だったのが運の尽きって訳かよ。」

焦りがうまれる・・。刀身が四方八方から突き付けられているような感覚が離れない・・

「そこまでよ・・サキ」

凛とした女性の声が響く

「マキ・・。」

「盟主から幹部への招集がかかったわ」

「フン・・仕方ない。楽しみは残しておくか。閃光・・お前とはまた会うだろうよ。」

黒き蝶が唐突に消える

朱い瞳と紅い髪の少女が口を開いた

「あなたが閃光ね・・。私は師団『蟲』蠍のマキ。サキは私の兄なの」

「確かに似てるな。その朱い眼なんか特にな」

「ありがとう。私はサキを愛しているわ。だから彼を殺すのはね・・この私なのよ」

「訂正しとくぜ。ヤツを殺すのは俺だ。いや、組織の人間全てを殺す」

怒気を含んだ声で威嚇するが・・・・蠍の口元は笑っていた

「楽しみにしているわ。四師団『蟲』『酉』『龍』『獣』勢力を挙げてお待ちしてるわね」

その言葉を残し、赤い蠍は消えた・・

「四師団か・・。組織には三柱、二天と続き、盟主・・。必ず殺してやる」

俺は事務所に戻ると今までの事を整理していた

神眼・・・・
選ばれた人間にしか発現しない異質な眼。この眼を持つ者は『適合者』と呼ばれる・・

神具・・・・
神眼を持つ者は何かしらの武具を具現できる。伝説上の武器だったり、潜在的欲求が形になった武器だったり・・

組織・・・・
『抹殺』を受け持つ機関。主に適合者の抹殺が職務となっている。そのため組織全てが適合者であり、その中でも四師団、三柱、二天は世界屈指の精鋭揃いといわれている

四師団・・・・
『蟲』『酉』『龍』『獣』で構成されている。各師団4人の適合者で成り立っている。
蟲は蝶、蠍、蜘蛛、百足と呼ばれる4人の暗殺部隊。
酉は鷹、鷲、鶻、鴉と呼ばれる4人の隠密部隊。
龍は蛇、蜥蜴、鰐、蛭と呼ばれる4人の強襲部隊。
獣は獅子、虎、狼、熊と呼ばれる4人の殲滅部隊。

三柱・・・・
盟主に代わり組織を動かしている3人。いずれも知力、武力に優れた精鋭である。それぞれ『鵺』『夜叉』『蛟』と呼ばれている。

二天・・・・
盟主の守護が任務とされている武を極めし者。
組織自体の抹殺任務は行わず盟主を守ることだけが彼等の存在意義である。
『剣皇』『刀皇』と呼ばれている。

盟主・・・・
存在自体が謎に包まれている組織の頂点。誰一人として盟主の命令には背かない絶対的なカリスマ。適合者なのかすら謎である。

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