オリジナルノベル

□悲しみの果てに明日はくる
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男女の幼馴染みとは漫画やアニメでは割と仲が良かったりするんだが・・

俺とアイツの場合は、その法則は当てはまらない。なにせ・・目が合うだけで嫌悪感が滲み出ている表情をされちまうんだから・・

俺の名前は御堂秩序(みどうさとし)変な読み方だがさとしと読む。
まぁ私立の共学校に通う平凡な学生だ。ルックスは普通、学力も可もなく不可もなく、運動は得意なんだがな。

そんな俺だが糞ガキの時からの腐れ縁の幼馴染みってのががいるわけだ・・。

それが眉間にシワを寄せて隣を歩いている物騒な女である。

名前は霧桐雨里(きりとうあめり)性格は極めて明るく人当たりが良いモテそうな女だ。顔はぶっちゃけ上玉だと思う。

しかし学力は俺よりも下だったりする。運動はそれなりにできるみたいだな。

仲が良い友達にはキリキリと呼ばれているようである。理由は名字が二つとも「きり」と読めるかららしい。

家が隣ということとお互いの親が仲が良い上に、同じ学校という現実もあるため、何故か朝は一緒に登校させられる。

まぁ雨里のヤツも俺なんかとは一緒に行きたくはないだろうが・・。

そんな時、ふと雨里が話しかけてきた。

「アンタさぁ、奈良原と仲が良いわよね?」

俺も相槌をうってみた

「あぁ、なんだオマエ?告白でもすんのか?確かにアイツ、顔は男前だけどな。」

「逆よ。告白されたのよ。奈良原は嫌いじゃないけど付き合うのは無理だわ。」

「ふーん。まさかアイツがオマエをねぇ・・。で?俺から奈良原に伝えろってか?」

「まぁ、そんな所よ。」

「それにしてもお前、浮いた話を一つも聞かんがちゃんと青春してんのか?」

コイツはハッキリいってモテる。それは俺が一番知っている事だった。

「・・うるさい。アタシは誰かと付き合うとか考えた事ないから。」

「すまん・・。」

失言だった・・。俺は知っていたから・・雨里の事情を。

「別にいい。さぁ着いたわよ。」

会話をしている内に学校に着いたようだ。
私立猩々学園(しりつしょうじょうがくえん)という名前なんだが、実際に何も特徴はない学校だ。

俺は雨里と同じクラスの3―E。自慢じゃないが雨里とは幼稚園からずっと同じクラスだったりする。

教室に入ると挨拶が飛び交う・・。その中でも一際やかましい声の二人組の男と女が駆け寄ってきた。

「うぃっす!?サトシ。キリキリもおはよー!?」

こいつは茅場宗史(かやばそうし)多分に一番仲が良い友達だろう。

次に負けじとハイテンションな女が挨拶してきた。

「おっはよ〜!?御堂!?二人とも毎日一緒だよね!?」

このうるせー女は神崎凛(かんざきりん)性格は人懐っこくて我が強い女だ。でも友達思いの良いヤツである。

「朝っぱらからやかましいヤツらだぜ・・」

「二人ともおはよう。相変わらず朝から無駄に元気ね。」

この二人を相手にする時だけは雨里と同意見になる。

「あぁ、そういやキリキリ。奈良原が捜してたぜ?」

「ふーん。それじゃ秩序、お願いね。」

素っ気なく雨里が俺に告げる。

「あぁ。普通に断っていいんだな?」

「えぇ。今以上の関係にはなれないって伝えておいてくれればいいわ。」

「あいよ。んじゃ俺はちと奈良原捜してくるわ」

俺は教室を出た。

奈良原は隣のクラスだったよな・・

「おい。奈良原知らねえかな?」

適当なヤツに聞いてみる。

「奈良原君ならさっき食堂でみたよ。」

親切な女子が教えてくれたんで俺は食堂に行ってみた・・

奈良原は食堂でパンを貪っていた。

「よぉ奈良原。少し時間あるか?」

「ん?御堂か。どうしたんだ?」

「んー・・まぁ雨里から代理頼まれてな・・」

「あ?霧桐から?もしかして俺がコクった件か?」

「あぁ。アイツは今は付き合うとか考えられんらしい。今以上の関係は無理だとよ。」

「あ、やっぱり?つかアレ罰ゲームだったんだよ。」

は?何言ってやがんだコイツは?

「意味わかんねーな。もしアイツが付き合う気だったらどうするつもりだったんだ?」

「ん?適当に付き合ってりゃいいんじゃねーか?顔だけ見りゃ可愛いしな。」

成る程ね。遊びのダシに使ったわけか・・

「そうだな。適当に付き合ってりゃいいよな。」

俺は相槌をうつふりをした

「ははは。そうそう。好きでもねーのに真面目に付き合うわけねーじゃん。」

あっからかんと俺の前で言いやがる・・

「おい。奈良原。」

「ん?なんだよ?」

射ぬくような目で奈良原を見据える。

「殺すぞ。」

「え?いや・・ちょっと待てよ。」

今更になって奈良原も気づいたようだ。

「口には気をつけておけよ。次に雨里をダシに使ったら殺すからな。」

奈良原は震えながら頷いた・・。

さて、用事も済んだし教室に行くか。

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