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□月の涙
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月の涙(ガイ)


「ちょっとルーク!好き嫌いせずに食べなさいって言ってるでしょーが!」

「いいだろ別に!ニンジンなんか食わなくても生きて行けるんだよ!」

「そんなだからいつまで経ってもチビっこいのよ」

「平均身長くらいはあるからいいんだよ!へ・い・き・ん・し・ん・ち・ょ・う!」

「ほー、男性陣の中で一番小さいくせによく言うわ。ご立派な『平均』ですこと!」

「イオンよりはでかい!」

「イオン様は女の子とカウントします」

「卑怯くせー」

「いいから、ニンジン食べよ?口に入れる、噛む、飲み込む、ほら5秒で終わる!」

「簡単に言うな!」

「もう…すぐ済むから食べてよー。あ、ちゃんと食べたら後で買い出し付き合ったげるから」

「…ま、まじでか?」

「まじです」

「…絶対だからな」

「うん、いいよ」

「後で『実は嘘でした』とかナシな」

「うん、嘘じゃないから。ほら、食べる?食べない?」

「く、食うよ!食うから!…とりゃっ!……う……………く、食ったぞ!」

「おー!よく出来ました!やればできるじゃん!ルークー!私は今、我が子の巣立ちを見届けた親鳥の気分だよ…」

「わけ分かんねえ」

「あーもう、いい子いい子」

「や、やめろよそんなの…と、とにかく!約束は約束だからな!後で、二人で、一緒に、買い出し行くんだからな!じゃあな!」

「了解でーす」

「…ルークと二人で出掛けるのかい?」

「あ、ガイ。うん、ルークがニンジン食べられたご褒美にね」

「ふーん…」

「どうしたの?なんか気になる?」

「いいや、特に何も」

「…もしかして、ガイ、拗ねてる?」

「俺が?…なぜ?」

「いや、そんな気がしただけ。うん、気のせいかも…って、ガーイーくーん?その皿に残ってるのは何かなー」

「え、あ、いやこれは」

「いつもはルークに兄貴面してるくせに、自分は好き嫌いするわけ?」

「いや、他はいいんだけど、この部分ちょっとトウフが固まってて、どうも…」

「せっかく頑張って作ったのになー。トウフハンバーグ」

「…あー、じゃあこうしよう。これを食べたら、俺にも何かご褒美をくれないか?」

「へ?な、何を言い出すの」

「ノエルに聞いたんだが、今夜、流星群が見れるらしい。だからさ、二人で見ないか?」

「そんなんでご褒美になるの?道具の買い出しとか、修理とか、実用的なのじゃなくて?」

「もちろん。君と二人でいられるなら何だっていいさ。でもどうせなら、二人の時間を楽しめた方がいいだろう?」

「ちょーっと気障すぎやしませんかね」

「ははは…。ね、駄目かい?夕方には街に着くだろうから、夜にホテルのロビーで待ち合わせってことで。ただでさえ美しい流星も、君となら何倍も綺麗に見えると思うんだ」

「せ、せんせー!ガイ君があまりに気障すぎると思いまーす!」

「ははは、傷つくなあ。…で、どうだい?ルークとは二人で約束してるのに、俺とは行ってくれないのかな、お嬢さん?」

「だ、駄目では、ない、です…」

「よし。じゃあ今夜な。…ははは、何もそんなに真っ赤にならなくてもいいだろう」

「だ、だってだって!買い出しの手伝いならまだしも、こんなの、まるでデ、デート…みたい…で…」

「俺は初めからそのつもりで誘ったんだけど?」

「……へ、」

「ま、そーいうことで。あ、これ食べなきゃな。………うん、ごちそうさま。美味しかったよ」

「・・・ひ、卑怯だー!」




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ルークが不憫・・・笑
ルークを見てて思い付いたガイ。トウフをダシに使わないと女の子を誘い出すこともできないくらいヘタレだといい。

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