文
□秘事
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普段、この時間帯には一緒に居る筈の君が居ない。
そうなると必然的に考えてしまうのはその人の事ばかりで、彼の事が本当に好きなんだと身に染みる。
今まで言いたくても言えなかった言葉を、君の居ないこの時ばかりは言っても構わないだろうか―――。
今日、陽が登りかけた頃に留三郎は忍務という名のお使いを学園長に頼まれ、学園を後にした。
六年生であれば一人でも出来る程度のものらしく、武闘派でもある彼が選ばれたらしい。
そんな訳で、私は今一人で床に就いている。
でも、どうも留三郎が気になって仕方がない。
というよりも、留三郎が居ないこの部屋が、やけに寒々しく、寂しく思えてしまっているだけなのだけれど。
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