□拍手文置場1
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【食満×伊作】

「ねぇ留三郎、ぼくは君に会えてとても幸せだよ」


辺りが静寂に包まれた夜。
布団に伊作と二人並んで寝ころがっていて、もうそろそろ眠気が襲ってきたと感じてきた頃に、いきなりその様な事を言われて俺は思わず飛び上がる。
今が夜で良かった、きっと俺の顔は真っ赤に染まっているのだから。

それを隠すように伊作に背を向けていきなりどうしたんだと問うと、伊作らしい答えが返ってきた。

「ぼくはね、この学園に入学してから今までずっと不運だと言われてきた。
自分ではそうは思わなかったけど、言われ続けていると本当にそうなんじゃないかって考えになってしまうんだよね。
でも、そう考えて落ち込んでしまいそうな時にはいつも留三郎が居てくれたから」

自分が居る事で、何故落ち込まずに過ごす事ができると言うのだろう。
そう聞きたかったが、その疑問は何故だか今は問う気になれなかった。

自分に会えて幸せだと言った伊作の気持ちこそが、俺にとっても幸せだと、何となく気付いてしまっていたから。


END.



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