短い夢

□銀さんハーレム化計画〜ログ〜
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光が窓から差し込み、万事屋にも朝が来たことを告げる。

万事屋の主、坂田銀時も朝日を顔に浴び、布団の中で顔を歪めていた。

すると銀時が寝ている部屋のふすまがバンッ!と勢いよく開かれる。


「おっはよう銀さぁああああん!!!」

「ごべばぁっ!!」


ふすまをを開けた少女、小夏は笑顔で挨拶をすると、突進するかの如く銀時の腹部に飛び込んだ。

こうして銀時は衝撃の朝を迎えることになる。


―――――――――
――――――…



「おはようございまーす」

「あ、新八さん、おはようございます」


新八が出勤すると、朝ごはんの準備をしている小夏と、何やら朝からグロッキーな状態の銀時がいた。


「ごめんなさい、今銀さん起きたところで、朝ごはんこれからなんです。神楽ちゃんもまだ起きてなくて」

「んお?小夏また来たアルか」

「あ、神楽ちゃんおはよう、うん、今日も銀さんに会いたくて来ちゃった♪」


押し入れが開き、中から出てきた神楽にも挨拶しながら小夏はてきぱきと準備を進めていく。


「もう朝ごはん出来てるから早く顔洗っておいで」

「言われずともそんくらいやるヨ、マミーかお前は」

「新八さんは今日朝ごはんは?」

「僕はもう食べてきたよ」

「じゃあお茶を出しとくね」


この少女、小夏は神楽と同じく地球に出稼ぎにやって来た夜兎族だ。

どういうわけか銀時に一目惚れし、こうして時々万事屋にやってきては朝ごはんの準備をしたり仕事の手伝いをしたり(ほとんど依頼はないけど)、何かと世話を焼いていくのだ。

そこだけ見ると一途な少女に思える。ただその愛情表現が問題なのだが


「お待たせ銀さん!はいこれ銀さんの分」


神楽の分を終えると、あるものを銀時の前に出す。

それは朝ごはんなのであろう、しかし動いていた。


「…えっと、小夏ちゃん?」

「ん?」

「これはなに?」

「これはね、とある星のお好み焼きなんだって!前食べた時美味しかったから作り方教えてもらったんだ♪」


笑顔で説明する小夏の手に乗っている皿の上で、とある星のお好み焼きと呼ばれた、グロテスクなマスクが口を開け、所々に生やしている触手が蠢いていた。


「ソースもいいしケチャップをかけても美味しいよ」

「あ、あのぉ〜、せっかく用意してくれて悪いんだけど、朝からお好み焼きってちょっとキツい…」

「グギャゴゲゴギガアァアアア!!!」

「うるさい」


皿の上で奇声を上げお好み焼きに、小夏は裏腹の冷たい一声と共に、グチャアッ!と拳を振り下ろし、つぶした。

その時の彼女の表情はとても冷たく、先程までの明るい少女とは別人の様だった。


「はい銀さん!あーん♪」


いつもの笑顔に戻り、銀時に潰れたお好み焼きを、箸ではさんで差し出す。


「い、いや、あーんもなにもそれ、さっき素手で触って…」

「あーん」


今度は少し声のトーンが下がっている。それだけなのに威圧感を感じた。
銀時は観念した。


「い、いただきます……(ムグムグ)」

「どう銀さん、美味しい?」

「(美味しいわけあるかぁああああ!口の中ブクンビクン動いてて気持ち悪いしまだ声聞こえてるし味なんて分からないし!…でもここでまずいと答えたら殺されるし)お、美味しかったです…」

「よかった♪まだあるからたくさん食べてね♪」

「わ、わぁ〜い嬉しいなぁ」


顔が真っ青な銀時の口にまたもやお好み焼きを幸せそうな笑みで差し出す小夏

新八はそんな相対的な光景を見ながら、神楽に出された朝食に視線を移す。

神楽に出された朝食は白ご飯に鮭の塩付けとみそ汁、ひじき煮といった、いたって普通の朝食だった。

こういうの作れるならこっちを出したらよかったんじゃない?と思った新八だが、小夏自身に悪意はないのだ。

ただ大好きな銀時に特別なものを与えたい、自分の気持ちをぶつけたいだけなのだ。

そこだけ見たら一途な少女なのだが、その愛情表現が銀時の体力気力を奪っているのを、彼女は全然知らない。



 
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