お話小箱

□Christmas Time
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軍事作戦はいつもながら早く終わった。

「では、セリス将軍。今回は貴女が西方の指揮を。今回はここが肝心なところだ。」
「解ってます。」
「氷の女セリスなら平気さ・・・ククク・・。」
ケフカは相変わらず不気味な声を出しながら笑っている。
セリスはケフカのこの笑い声を少なからず常に不気味に感じてた。

「では、決行は来週・・・。」








――翌週――


コーリンゲン侵攻


作戦通りに各将軍は兵士を引き連れて配置に着く。


・・・そして・・・


一斉に攻め入る――

どんな人間も構わない。
自分に刃を向けるものは全て敵。
全て消す――

セリスは指揮を取りながら魔導の力で、攻めてくるコーリンゲンの住民や兵士に氷の刃を向ける。

小さな村だったため、侵攻にはさほど時間がかからなかった。

本当にあっという間に制圧してしまった。

「今回の侵攻はセリス一人に任せても良かったんじゃないか?」
ケフカはさもつまらなさそうにレオにぼやいた。

「いや、セリス将軍は将軍と言ってもまだ16だぞ・・・。無理だろう・・・。」

「また、そうやってレオはセリスを甘やかす。」

「そういうわけでは無い。精神面がもっと成長しないと無理だと言うことだ。」

「フン・・・。」
ケフカは鼻で笑って返事した。


「セリス将軍、引き上げよう。」
レオは優しくセリスに声を掛けるとそれに答え自分の引きつれていた兵士に号令をかけ帝国に引き上げて行った。


(今日も私の兵士が減らなくて良かった・・・。)



セリスは戦いの中で出来る限り自分の兵士を守るようにしていた。
それはレオやシドから教わった「優しさ」という人間の感情。
普通の人なら誰でも持っている感情だが物心ついたときから軍にいたこの少女には欠落していた感情で、初陣の時は本当に冷徹で残虐な戦い方をして帰還した。
それを目にしたレオがシドと相談して「優しさ」という感情を教えて行ったのだ。
シドはセリスに温室の花を一つ預けてその花が短い命を終わらせるまで面倒を見させ『生命』の儚さを学ばせた。
レオは部下に感謝の気持ちを表すことを教え、部下の大切さを教育した。

そして月日が流れ、やっとつい最近になり、「優しさ」を出すことが出来はじめたのだ。


帝国に戻りセリス軍専用の会議室にてセリスは将軍として部下の兵士たちにねぎらいの言葉をかけた。

「今日も無事にみんながここに戻って来られて嬉しく思う。ありがとう。そしてご苦労だった。暫く遠征はないだろうから、皆、ゆっくりと休むように。」


部下の兵士たちはいつもこのねぎらいの言葉に少なからず癒されていた。その小さな気遣いはセリスの人望を厚くさせて行った。
そのお陰か、セリスの部隊に志願する兵士は後をたたないのだった。


ねぎらいの言葉を残すとセリスは退室し自室に戻った。

鎧を脱ぎ浴室に向う。

体中砂埃、返り血・・・とにかくドロドロしていて気持ちが悪かった。

全身の汚れを落としゆっくりとバスタブにつかる・・・・。


―至福の瞬間―


「ふぅ〜」
セリスは軽くため息をついた。

この浴室にも小さいが窓がついていて、浴槽でゆっくり体を温めながら外の街の風景を見ることが出来た。ハーフミラーになっていて外側からは中の様子は見ることが出来ない。



(いいな・・・クリスマス・・・。)


やっぱりクリスマスへの憧れは消えずセリスの外に出たい気持ちは募る一方だった。
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