お話小箱

□バレンタイン
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今日は2月14日――バレンタインデー





昨夜、緊張と高ぶる気持ちを抑えることが出来ずセリスは眠れない一夜を過ごした。


(はぁ………とうとう眠れなかった……)




セリスはボーっとする頭重感に表情を歪めながら鏡に向かった。





「ヒドい顔……。」

目のまわりにうっすらとクマが出来ていて、それは元々色白な肌のセリスを病的に見せるには充分だった。


(ヤだな……こんな顔でロックに会いたくない…。)




……でも今日はバレンタインデー……。





せっかく用意したチョコレートと銀細工のピアス。


「はぁ……」

セリスは軽く溜め息をつくと鏡の前から姿を消して着替えた。




ファルコン内のダイニングに入ろうとした時、ちょうど入り口からソファに寝っ転がり本で顔を覆いうたた寝するロックの姿が見えた。


(ロック…寝てる?………!)



セリスは何かを思い付き自室に駆け戻って行き、すぐまたダイニングに帰って来た。



(良かった!まだ寝てる!)



セリスは高鳴る胸を必死に抑え、すぐ目の前で横たわっている愛しいその人にゆっくりと一歩、また一歩と近づいた。

ロックに近づく毎に心臓の跳ね具合は強さを増し口から飛び出てきてしまうのでは無いかという位、頭の先にまで心臓のその鼓動は響いていた。
そして、気付くと両手も両脚も震えている。




(落ち着け!私っっ!)




セリスは必死に自分に心の中で言い聞かせ寝ているロックの傍らにたどり着くとそこに両膝をついた。
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