お話小箱

□insomnia★
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静かな夜だった。夏なのに夜は涼しく心地よい風が吹いている。





宿屋の一室の窓辺に腰掛け乍美しく、妖しく蒼白く光る三日月を眺めていた。
優しく吹かれる風に金色の長い髪はかすかに揺れる。


(もう、どのくらい旅をしてきたのだろう…。)
セリスは遠い目をしながら軽くため息をついた。

(ロックと出会ってからどのくらいの月日が流れたのだろう…。)


セリスはロックに救出されたあの日からの日々を思い出していた。サウスフィガロを脱出し、山を越え、ナルシェに向かい…リターナーの仲間入りをし…旅の途中で色々な仲間が増え…
女優になりすました事もあった。


旅を続けモンスターや悪を倒しても平和は戻らない。そして…
自分の犯してきた数々の罪も償えない…

―私の罪は一体いつになったら償いきれるのだろう―



『帝国の常勝将軍』として君臨していた彼女。
大小様々な国や町をほろぼした。
罪のない人々の悲痛な叫びを何度も耳にした。





―イマデモトキドキ夢ニデテクル―



彼女は最近不眠症に陥っていた。



―コワクテ眠レナイ、ソシテ、眠ルノガ恐イ―

セリスは深いため息をついた(何も考えずに眠りたい)
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