□story3□
□花言葉リレー
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「にーちゃん」
「どうしたの、神楽」
今日もどんよりとくすんだ空に太陽を打ち上げるぐらい明るい笑顔の彼女は笑う。
目の前に差し出された手は小指だけがぴんと立っていて、俺の小指を待っているよう。
「なあに?」
「指きりげんまん、しようヨ」
神楽の顔の高さまで屈むと、綺麗な青を見られるから、
俺はいつでも神楽の欲しがる青い空を手に入れているんだ。
「どうして?」
「約束するのヨ」
「なにを?」
「兄ちゃんも私も、どちらも離れない約束アル!」
幼い笑顔は何にも知らない澄んだ瞳で、固い約束を求めていた。
知っている。
約束を守ることはきっとできないことを。
それでも
「うん」
手を伸ばしてしまう俺の甘さが、
きっと今のお前を救っていられていますように。
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君の小さなぬくもりが
俺の薬指につけた呪いに似た願い
ほどけないのは
その笑顔がまだ欲しいから
アカンサス:離れない結び目