□story3□

□VeryShort
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「阿伏兎ー」

「ああん?」

「俺夢見たんだけど」

「あっそうですか」

「何その言い方。殺すよ?」

「・・・・・・」


夢を見るのは決まって俺の手を血で染めた時。
その理由がなんであれ、必ず同じ夢ばかり見る。

(約束、したでショ?)

約束?なんのことだ

(信じていたのヨ、お前のことだけは)

いつも何を考えてるのかわからないって言ったのはどこのどいつだ。

(ねえ、お兄ちゃん・・・)

なんだお前は
俺を嘘つきだとでも言いたいのか

嘘つきは泥棒の始まりだなんて、だったら皆泥棒じゃないか
なあそうだろう?

欲しいものがあるのなら
力ずくでも奪えばイイ
誰かを何かを傷付けたって今更何も変わったりしない

はずなのに

お前が何も言わないで
哀しい蒼でみつめてきたときゾッとするんだ

いつかお前が離れていくこと
わかっていた
だってそう仕向けたのは他でもない俺

なのに今では
俺がお前の背中を追っているだなんて



馬鹿なの俺


「神楽、あいしてるよ」

四分の一だけ振り向いた君の顔を逃さなかった









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