阪ヒロ  ヒロ阪

□あなたにあいにゆく 阪東×ヒロミ
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いつからだっけな・・・・
ヒロミはタバコの煙をたゆらせながらぼんやりと天井を見た。
となりにはうつ伏せでベットに沈む本城。
柔らかい金髪がシーツに広がっている。
本城とこんな関係になってどれくらいたったろうか・・
中学からの親友がいつの間にか体の関係になっていた。
だけどこの胸にくすぶる何かを本城の中にぶつけてもぶつけても消えることがなくて、ヒロミはいつも終わったあと気持ちが沈んでいた。
「まただな・・」
となりでけだるげな声。
ヒロミはゆっくり視線を本城に向ける。
「何が?」
「ヒロミ、俺とシたあと必ず天井見て呆けてる。」
「そう・・だったか?」
タバコをもみ消してベットのそばに落ちているシャツを拾って羽織る。
「なあ、ヒロミ・・」
起き上がった本城がタバコに火をつけた。
「ん?」
「俺たちもうすぐ卒業だろ?ヒロミ、結局進路決めたのか?」
「・・・・・・どうするかなあ・・・・」
ばふっとベットに寝そべったヒロミがぼやく。
そんなヒロミを本城はじっと見ていた。
「・・・なんだよ?」
「そろそろさ・・決着付けたほうがいいんじゃねえの?」
「決着?」
「その髪も、進路決めかねてんのも、呆けてる時間が長いのも・・もう自分で気付いてるんだろ?」
「ポン?何言って・・・」
ヒロミの顔色がふっと変わる。
「阪東」
本城が出した名前にヒロミがピクリと揺れた。
「何・・言って・」
「気付いてないのか?お前、俺抱いてるとき、たまに『阪東』って言ってるぜ。」
「!!!!」
「かなり、俺に失礼じゃね?まあ・・俺もヒロミじゃない人想像して抱かれてんだからお互い様だけどな。」
本城は少し悲しそうに笑った。
そして煙を吐く。
「・・・行ってくれば?どうなるにしろ、このままでいいとは思ってねえだろ?」
「・・・・・あっちは俺がどう思ってるか知らねえし・・・。どこにいるかも知らねえ・・。横浜ってことくらいしか・・」
「ヒロミ、ケータイ貸せ」
「あ?」
突然本城はヒロミの目の前に手を出す。
阪東の話をしてたかと思うと全然関係ないような話に飛んでヒロミが面食らいながらもケータイを出した。
本城は自分のケータイと何やら見比べて操作してポンと投げてよこす。
「未分類、見てみな」
何だ?という顔をしてケータイを見たヒロミの表情が固まる。
「これ・・・・」
本城がにやりと笑った。
「いつか・・必要になる気がしてあいつが卒業する前に無理やり聞いた。あいつ、嫌な顔してた割にはすんなり教えたぜ。」
ヒロミのケータイのディスプレイに表示されたのは阪東秀人という名前と携帯番号。
ケータイを持ったまま固まっているヒロミの背中を本城は蹴り飛ばす。
どさっとベットから落ちたヒロミが
「いってっ・・」
呻きながら起き上がって本城を睨んだ。
「何すんだ!!ポ・・」
「海老中の狂犬が情けねえぞ。とっとと言って来い」
本城が昔から変わらない悪戯に成功したような目を細めて笑う。
「ポン・・・」
「土産はシューマイな?」
そう言ってヒロミの髪をくしゃくしゃに指を絡める。
「・・・・悪い・・・」
俯いたヒロミに本城は「お互い様だって言ったろ」と笑った。
ヒロミは服を着ると阪東の番号の入ったケータイを大事そうにポケットにしまうと本城の家を出た。

ヒロミの去った部屋の中でタバコを消した本城が再びベットに横になる。
番号を聞いたとき、阪東は本城経由でヒロミに伝わるだろうということが予測できるのにすんなり教えた。
・・・・・それって・・少しは脈アリって事だろ・・
ほんの少し悔しいからヒロミには言わなかったが。
「俺も・・・がんばってみるかな・・」
ケータイのメールと着信に並ぶ同じ名前。
気持ちを打ち明けたらあいつは驚いて・・・離れていくだろうか・・・
それとも・・・・
本城はまるで忠犬のような坊主頭の後輩を思い出してくすりと笑った。
そしてその後輩の番号をリダイヤルする。
「・・・・・・・・もしもし?相変わらず出るのはえーな。あのさ・・・−−−−−−−−−−−−−−−−−−」
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