花咲く世界

□宴支度

次の日の朝、灰崎達が朝食を摂る為に食事会場に向かう。
食事会場の近くに来ると何故か女性従業員達が頬を赤く染めながら浮き世だっている。
その女性達の視線の方を見るとそこには2人の人物が居た。

「・・・あの美人さんは確かユージィンさんだったかしら?」
「テツ君を連れて行った人ですよね?」
「・・・・・・・彼の向かいに居る美人は誰だ?」

視線の先にはカップに口をつけたユージィンと、腰まである青みがかった黒髪に銀色の瞳の中性的な美人が向かい合って座っていた。
2人共目を惹く美しさを持っている為、女性達は勿論一部の男性達も彼等に見惚れている。

「あの美人はテツヤ様だぞ。」
「は!?」
「日本に居る間は身晴れを防ぐ為に少々容姿を変えていて、あれが本来のお姿だ。」
「嘘・・・でしょ?」

灰崎の言葉に周辺に居た面々は呆然とする。
そんな事をお構いなしに花鹿が2人の方に駆け寄る。

「テツヤ!」

そして、赤司が言う”美人”に抱き付いた。

「・・・・花鹿?」
「おはよう!」
「おはよう。」
「今日は変装していないんだな?」
「あ・・・ああ、昨日ウィッグ外してそのままだった・・・。」

花鹿の言葉に黒子は自身の頭に触れる。

「・・・もしかして気付いてなかったの?」
「・・・・・というかウィッグ外してたの忘れてた。」
「久しぶりにそっちの姿見たけど髪の毛伸びたな〜?」

そう言って黒子の髪の毛に触りながらルマティが関心する。

「ルマティも人の事言えないだろう・・・。初めて会った時から今までずっとカットしてないだろ?」
「王族と神官は無闇に髪をカット出来ないからな。」
「ラギ教、本当にややこしいというか・・・面倒が多いな・・・。」
「髪の毛が長いと邪魔でふとした時にカットしたくなる。いっその事自分でざくっと・・・。」

ルマティは自身の髪を掴んで呟く。

「それは色んな意味で駄目な気がする・・・。」
「そう言われるから我慢してるぞ。」
「ほっ本当にテツ君だった・・・?」
「・・・・桃井さん?」

目を見開きながら口元を両手で覆う桃井に黒子が首を傾げる。
他にもあり得ないものを見た様な表情を浮かべている面子がちらほらと黒子を見つめていた。

「・・・・随分と・・・・別人だな・・・。」

周りの意見を代弁する様に赤司が呆然としながら呟いた。

「え?・・・ああ、普段はウィッグ被って表情も無表情で目立たない様に存在感とか調節してますからね。流石に髪の毛が長いと目立ちますよね・・・。」
「・・・いや・・・そこじゃない・・・。」

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