箱庭

□黒子と刀剣男士と謎の生命体と迷子日記







誠凛高校一年バスケ部兼審神者 黒子テツヤの日記




一日目。

刀装作りに失敗して爆発して煙が晴れたら何故か目の前は雪原でした。

右を見ても左を見ても後ろを見ても前を見ても上を見ても下を見ても白、白、白、白!

おまけに格好が白拍子服なので地味に寒いです。

ふと足下を見ると何故か薬研藤四郎・小夜左文字・鶴丸国永・今剣・大倶利伽羅・山姥切国広の本体が落ちていたので慌てて手にしたら何故か短刀以上の刀が短刀になりました。解せぬ。

まあ、取り敢えず持ち運びが少し便利になったので良しとしましょう。

取り敢えず現状把握の為にも日記を書いておきましょう。

運良く報告書を書く為の道具は持っていたので。

しかし、逆を言えばそれしか持っていない事になるのですが・・・まあ、どうとでもなるでしょう。


・・・・・・・多分。





真っ白世界の中に一つだけ目に留まった他の色、黒い何かを目指していざたどり着くとそこは程よい大きさの洞窟だった。
取り敢えず此処を中心に状況把握をしようと、記録の為にも日記を書き始めた。
日記を書き終わり、黒子は自分の傍に置いてある6口の刀を見つめる。

「・・・・・彼等の魂は・・・・ありますね。」

もの言わぬ刀達に触れて黒子が呟く。
すると、突然刀達が光り出し黒子の体内に吸収されていった。

「・・・・・・・は?」

いきなりの事に黒子が動揺する。
そして自身の身体をペタペタ触り出した。

「え?は?」
『何やってんだ?大将。』
「薬研!?」

ふと見覚えのある姿が目の前に現れる。

「あれ?でも何で透けて・・・?」
『あ〜、いきなり霊力が切れてた所に大将が俺等を取り込んでくれたお陰で少しだけ話せる状態になった。』
「へ?」
『詳しい事は完全に復活してから話す。取り敢えずは俺等の心配は必要無い。大将が生きてればだがな。』
「皆さんは一応は無事なんですね?」
『ああ。けど今の俺達は大将を守るだけの力が無い。それに実体化するにも最低でも3日かかる。』

普段の彼からは考えられない程早口で話す。
その間にも薬研の身体は更にどんどん透けていく。

「そうですか。」
『だからその間に大将に危険が迫っても助けてやる事が出来ねぇ。それだけは頭にいれておいてくれ。』
「分かりました。」
『・・・・もうじ・・・間がな・・・・た・・・き・・・つけ・・・・。』

ぶつんとでもいうように薬研の姿が消えた。

「・・・・3日ですか。取り敢えず3日は一人で頑張りましょうか。」

そう言いながら伸びをする。

「さて、洞窟探検でもしますか。」

黒子の目線の先には洞窟の更に奥の真っ暗闇。

「確か充電式小型ライトが・・・ありました。」

かちりとスイッチを入れ、黒子は奥へと進んで行く。
暫く歩いていると突然突風が起きる。

『此処から出て行け。人間。』
「っ!?」

突風と同時に声が聞こえる。
声が聞こえた方を見ると、そこには白い身体に紫色の尻尾を持つ見た事も無い生命体がボロボロな姿で立っていた。
よく見るとその後ろには水色の尻尾の長い生命体が血だらけで倒れていた。
その姿を見た瞬間、黒子は自身のみの危険も顧みずに二体に近づいた。

「何をしているんです!?こんな酷い怪我を放っておくなんて!」
『近づくな!!!』

怒りに染まった瞳を向けながら謎の生命体は黒いエネルギーの玉を黒子に向かって放つ。
それに対して黒子は霊力で念のため壁を作り、黒い玉を避けながら近づいて行く。

『我らに近づくな人間め!貴様等の様な屑共に母は触れさせん!』
「え?親子?」

謎の生命体の言葉に思わず固まる黒子。
よく見れば二体は似通っている事も無い。
というか、普通見た目的に逆じゃね?と思わず言いたくなった。
どう見ても親を守る子と言うより、子を守る親にしか見えない。

「そんな事より、良いから死にたくなかったらじっとしてて下さい!」
『だから近づくなと言っているだろ!人間如きめが!』
「いい加減に・・・しろ!」
『がっ!』

いい加減にぷっつり来た黒子は謎の生命体に向かってイグナイト廻を容赦無く零距離で喰らわせる。
流石の謎の生命体もイグナイトは効果抜群だったのか、そのまま地面に倒れ込んだ。

「この子を治した君も治して上げますから大人しくしていて下さい。」
『くそっ!』
「大丈夫です。今すぐ治しますから。」

黒子はそっと、水色の生命体の身体に触れる。
ぽうっと、オレンジ色の光が黒子の掌から現れると同時に水色の生命体の傷がみるみる消えていった。
暫くすると、傷は完全になくなり水色の生命体が目を覚ました。

『・・・・・っ!此処は?』
「気がつきましたか?」
『・・・!?人間!?』

黒子の姿を見ると同時に水色の生命体は勢いよく飛び起きた。

「ああ!傷は塞がっても体力は回復してないんです!動かないで下さい!傷が開きます!」
『・・・・え?』

ぽすんと、黒子は水色の生命体の尻尾を掴んで自分の膝上に寝かせた。

『貴様!』
「はい。君も治しますから大人しくする!」

開いている左手で謎の生命体を捕まえて問答無用で傷を治していく。

『・・・・・何故我らの傷を治す?』
「怪我をしていたからですけど?他に理由なんてあるんですか?」
『『・・・・は?』』

謎の生命体の言葉に当たり前の事の様に黒子は答える。
予想しなかった言葉に二体は一瞬固まる。

「取り敢えず傷は僕の力で治しましたが体力までは回復出来ないので暫く安静にしていて下さいね?せっかく治したのに傷が開いたら嫌ですから。」
『・・・・・貴様、何だ?』
「へ?僕は誠凛高校バスケ部黒子テツヤですけど?」
『・・・こうこう?ばすけ?』
「高校は人間の子供が勉強する場所でバスケはスポーツです。」
『・・・・この子はともかく、君は僕の言葉が分かるの?』
「え?」

不思議そうに水色の生命体が呟く。

「だって先程から話してますよね?」
『人間は僕達ポケモンの言葉は分からないはず・・・。君は人間の姿をしたポケモンなの?』
「ポケモン?何ですかそれ?僕は幽霊に間違われますが人間です。」
『・・・・ポケモンを知らないの?』

お互いにはてなを飛ばしながら会話をするが、何故だか会話がかみ合っている気がしない。

「はい。生まれて初めて聞きました。」
『・・・・・・・君は何処から来たの?』
「本丸・・・いや、東京です。」
『とうきょう?そんな町僕らは今まで出会った人間にもポケモンからも全く聞いた事ないよ?』
「え?じゃあ、此処は何処なんですか?」
『『シロガネ山。』』
「シロガネ山?」





一日目追記

どうやら僕は過去でも未来でも外国でもなく異世界に来てしまった様です。

謎の生命体達が言うには此処はシロガネ山と言うそうです。

何でも四六時中雪が降っている山だとか。

これから僕はどうすれば良いんでしょうか?
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