ファミリー&フィアンセコンプレックス

□まさかのカミングアウト
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「で?何時から付き合ってる訳?」

わくわく状態なリコが目を輝かせながら机から身を乗り出す。
あの後、二人は食堂に連行された。
そして逃げられない様にドア側とは反対の場所の席に座らされ、その目の前にはリコと日向と宮地と高尾が、緑間の横のには先輩命令でテツヤがテツキの横には伊月が座っている。
そしてその周りに残りのメンバーが席に座っている。
状況的に本気で逃がす気が無い。

「・・・・黙秘権を主張します。」
「私も同意見かな?」
「僕が中学2年の時ですよ。当たり前ですがキセキが開花する前です。」
「黒子ぉおおおおおお!」

当人達が答えない代わりに関係であるテツヤがさらりと暴露する。

「そう。貴方達が答えないなら知っている事は全部黒子君に聞きましょうか?」
「それ良いな。緑間が答えないなら知っている事は全部黒子に聞こうぜ。」
「「さんせー。」」

にやけながら提案するリコと宮地に高尾と日向が笑顔で賛同する。

「馴れ初めは黒子君知ってる!?」
「知ってますよ。」
「じゃあ教えて!」
「待てっ!黒っ「ラッキースケベです。」

焦った緑間がテツヤを止めようとするが見事に失敗する。

「え?」
「始まりは責任を取る為に付き合ったんですよ。」
「どういう事?」
「そのままの意味です。姉さんを傷物にしちゃったから責任を取ったんですよ。緑間君が。」
「は?傷物?」

リコがテツヤの言葉に緑間を冷めた目で見つめる。
が、見つめられた本人は頭を抱えて机の上に突っ伏して居る為に全く気付いていない。

「まあ、全部おは朝の運勢が悪かった所為なんですが・・・青峰君と桃井さんの部活の移動中の喧嘩に巻き込まれて姉さんが階段から落ちそうになったのを支えようとして肩を掴むつもりが胸を掴みました。」
「へ?」

まさかの発言に皆の頭にはてなマークが飛び交う。
そんな周りを気にせずにテツヤは淡々と話しを続ける。

「更に部活で配るプリントを持っていた姉さんに紫原君がぶつかり、書類をぶちまけて尻餅をついていた所に緑間君がバラまかれたプリントを踏んづけてずっこけた挙げ句、姉さんを押し倒しました。」
「え?」
「そして諸事情で青峰君に蹴りを入れられた黄瀬君に体当たりをされ、眼鏡を落としてよく見えない状態の時に姉さんが拾ってくれた眼鏡を受け取ろうとして間違えてまたもや姉さんの胸を掴みました。それが一日目です。」
「は?」
「そして二日目。偶々スカートの下にスパッツを穿き忘れた姉さんが前を歩いて居た時に強風が吹いてスカートが捲れて前は抑えたので大丈夫だったんですが、後ろは全く抑えなかった所為で偶々後ろに居た緑間君と僕と桃井さんに中身が丸見え状態になりました。僕は身内で桃井さんは同性なのでまだしも、流石に問題がある緑間君の目を塞ごうとしたんですが僕達の身長では無理でした。」
「はあ!?」

テツヤの話しに徐々に周りの顔色が悪くなって行く。
そして一部は緑間を冷めた目で見つめ出した。

「その日の昼休みに桃井さんと緑間君の壊滅的な料理の腕をどうにかしようと、姉さんと紫原とお目付役に僕と赤司君が調理室を借りて指導してた時に桃井さんが何故か牛乳の入っている鍋を掻き混ぜているだけなのに爆発させ、その横で小麦粉を測っていた緑間君が驚いて粉をぶちまけて姉さんに小麦粉と牛乳をぶっかけました。幸い鍋の火を通す瞬間に爆発したので火傷の心配はなかったんですが動揺した緑間君が姉さんのネクタイを解いて脱がせようとブラウスのボタンに手をかけた所を赤司君に膝かっくんを喰らって羽交い締めにされました。」
「・・・・・・・しんちゃんぇ。」

遂に高尾が緑間を冷めた目で見つめ出す。

「放課後に赤司君に生徒会の関係で用事のあった姉さんが緑間君と将棋の対局をしている所にやって来て、話しが長くなると知った緑間君が自分が座っていた席を譲って出て行こうと立ち上がった時に椅子の脚にぶつかって蹌踉けた勢いで、姉さんをまたもや押し倒してそのまま勢い余って姉さんの胸に顔面ダイブしました。」
「・・・・・・・・・。」

もう何も言えなくなったのか、全員が黙ってしまった。

「そして運命の三日目。体育館の女子更衣室のロッカーが調子悪いから新調する為に使用禁止になってしまったので男子更衣室を貸す事になって姉さんが着替えていたんですが、その話しを委員会で聞いていなかった緑間君が知らずに更衣室の扉を開いてしまって姉さんの着替えを覗きました。」
「・・・・・・・・・。」
「そしてその事を謝っている所に巫山戯出した青峰君と黄瀬君が緑間君に気付かずに勢いよくぶつかり、姉さんと向き合っていた緑間君が前のめりになって姉さんとぶつかってお約束の事故チューです。」
「はぁぁぁああああああ!?」

まさかのオチに全員が目を見開いて緑間とテツキを見る。

「因に緑間君のおは朝は三日連続最下位でラッキーアイテムが気休め程度の物しか見つからなかった時です。」
「嘘だろしんちゃん。おは朝どんだけだよ。」
「で、不可抗力とはいえ姉さんの下着姿見て押し倒して胸を触りファーストキスを奪った斜め上に真面目な緑間君は責任を取る為に結婚を前提に付き合って欲しいと姉さんに告白しました。部活中の体育館のど真ん中で。」
「えー・・・何か違う。」

もっと甘酸っぱい青春を求めていたリコが残念そうに肩を落とした。

「その時の姉さんは全く本気にしてなくてどうせすぐに撤回するだろうと思ってOKしました。流石に僕と紫原君と桃井さんは反応に色んな意味で困りましたね。」
「え?テツキちゃんOKしたの?何で?」
「責任取ってもらえば?って征十郎君と修造に言われたから。取り敢えずしん君が満足するまではいいかなって。どうせ好きな人も彼氏も彼女も居なかったし。」

流石にこれは自分が答えないと駄目だと思ったのかテツキがやっと口を開いた。

「好きじゃないのに付き合ったの?」
「ある意味お試しで鉄平と付き合ってたリコに言われたく無いかな〜?」
「わっ私の事は良いでしょ!」
「?」

テツキがぼそりとリコにだけ聞こえる様に呟く。
流石に内容が内容なので気を使って周りには聞こえない様に呟いたらしい。
そしてテツキの言葉が聞こえなかった面々がリコの反応に首を傾げる。

「当時は真面目で面白くて可愛い、それなりに好感のもてる後輩って認識だったね。あ、でも顔は好みだったよ。」
「あ〜、姉さん綺麗系と可愛い系好きですもんね。」
「征十郎君も顔は好みだったよ。顔だけならこのメンバーだと俊君と宮地さんは好みな方だけど。」
「「え。」」
「テツキ先輩っ!」

まさかのカミングアウトに好みのタイプに名前を挙げられた二人が目を見開く。
そして緑間がテツキ食って掛かった。

「顔だけならって言っているでしょ?それに今はちゃんと緑間真太郎と言う個人が好きだらから問題無いでしょ?」
「〜っ!その言い方は狡いですよ!」
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