performance
□破壊衝動
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「みーやーじー先輩っ!」
「うおっ!?」
「怖い顔しちゃって、そんなんじゃタダの不良っスよ〜?」
「黙っとけ高尾。」
「んもう!ひっどーい!」
試合前のアップが終わり、秀徳が練習していたコートを睨む宮地。
その宮地の背中にギュっと抱きつく高尾。
「二人共、なんか・・・黒いオーラが・・・あっ、スミマセンスミマセンっ!」
「どーでもいーけどさ、謝り癖なんとかならねーの?リョウ。」
「えっ・・・。」
ボールを持ってじーっと二人を見ていた桜井に、灰崎が話しかける。
「でも、やっぱアレだよな。どーしてもやんなきゃなんねー相手とか、どーしても倒したい相手とかがいるときは誰でもあーなんじゃね?」
「そう、ですかね・・・。」
「まーいーんだ。要するに秀徳ツブしたいんだろ、カズナリと先輩は。」
頭をポリポリと掻きながら言う灰崎。
霧崎集合!という花宮の声が聞こえ、二人は花宮のいる方向へと走っていった。
「今回、ちょっとしたチャレンジする。」
「チャレンジ?」
「ああ。とりあえず、スタメンを一年全員と宮地さんにしてみようと思う。」
「はっ?」
「え、でもそれってポジションとか・・・。」
森山が尤もな意見を言うと、他の何人もが頷く。
「だからこそ、だよ。偏ったポジションでもウチは勝てるだろ。だから今までの練習メニューをあーしてたんだよ」
「・・・それって、俺をゴール下に行かせたり水戸部さんをゴールから一番遠い位置に配置したり・・・。」
思い当たるコトがあるようで、高尾が腕を組みながら花宮に問う。
「そ。だからお前らは今、どんなポジでもいけるはずだ。俺を信じろ。自分を信じろ。俺達は勝てる。」
悪童らしい笑みを浮かべる花宮。
「ヘッ、いーじゃねーか。」
宮地が笑みを浮かべながら言う。
「偏ったポジション、しかもスタメンの俺以外が全員一年。そんな状況でアイツ等が負けたら、王者のプライドズッタズタだろーよ。」
「あ、そーっスね!」
高尾がキラキラとした笑顔で言う。
「・・・SFが二人、PGが一人、SGが一人・・・あれ、黒子ってどこだっけ?」
原が黒子に向かって問いかける。
「僕はパスに特化してるだけなので、これというポジションはありませんよ。」
「へー・・・。じゃあ、何でもいけるんじゃね?」
「原先輩。僕を殺す気ですか?練習を更に増やされたらどうするんです?死にますよ僕。」
「・・・・まずは体力付けような。」
ぽんと、黒子の方に手を乗せる原。
「あの、花宮さん。」
「んぁ?」
「ちょといいっスか?」
灰崎が花宮に耳打ちをする。
花宮はニヤリと笑い、「いいじゃねーか」と頷いた。
「んじゃま、頑張ってこいよ。」
花宮は、5人をコートに送り出した。