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□転勤と転校
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「実渕玲央・・・。よろしく。」

オネェだから、とかそんな理由でもう嫌がらせはされたくない。
そんなことを考えて、私は霧崎に行ったあとはちゃんと“男らしく”過ごそうと決めた。

・・・ハズ、なんだけど。

「実渕じゃねぇかよ。どーしたんだ?お前確か・・・。」
「わああああああああ言わないで!」
「・・・ふーん。」

どういうわけか、まこちゃんと同じクラスでした。
ていうか、誠凛の伊月クンいるじゃない!どうしてよ!!

そんなことを叫びたかったけれど、やっぱり第一印象って大事。
今日一日は静かに過ごそうと思って、私は机に伏せる。
席はどういうわけかまこちゃんの隣。

「・・・お前、足ケガしてんだろ。」

賑やかな授業間の休み時間に、ポツリとまこちゃんがつぶやく。

「・・・・なんで?」
「席来るとき、引きずってた。」
「・・・・・そう。」
「・・・ムリだけはすんじゃねぇぞ。」
「こんなキャラですけど?」
「カンケーねーよ。お前はお前だろーが。」

机に伏せたまま、受け答えをする。
頬杖とついたまこちゃんがこちらをチラチラと見ながら私に話しかけてくれる。
それだけでも、私は泣きそうなのに。

「実渕さん、部活決めた?」
「・・・バスケ。」
「俺もバスケ部なんだ。よろしくね!」

眩しい笑顔で私に話しかける伊月君。
差し出された手を軽く握れば、あったかいねと言われる。
やめてよ、そんなこと言わないで。

ぽたり。

泣いちゃうじゃない。

ぽたり、ぽたり。

「・・・だーから言ったろーが。洛山で楽しくやってるってメール毎日よこすクセによ。」
「・・・・っふ、うぅっ・・・・!」

どーしたの、実渕くん!
大丈夫?どっか痛いの?
お、おい実渕!大丈夫か!?

そんな声が聞こえる。
洛山では、そんなこと言われなかったのに。

「ありが、とうっ・・・!」

ぽたり、ぽたり、ぽたり。

どうしたの?
大丈夫、安心して!

ぽたり、ぽたり、ぽたり。


大丈夫だよ、実渕さん!


私はずっと泣いていた。
授業が始まっても、涙は止まらなかった。


昼休み、私は全てを話した。
洛山であっていた嫌がらせのこと。
私が小さい頃周りが女性ばかりでその影響でオトメンな事。

全部、全部。

全部をぶちまけて、私は泣いた。


優しい人ばっかり。
このクラスも、この学校も、優しい人ばっかり。

「バァカ。」

頬杖をついたままで笑顔を浮かべるまこちゃん。

「うるさいわよっ・・・・!」



私は、久しぶりに心から笑った。
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