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□彼等の泣き場所
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「・・・・ずっと変な体制のままでいさせてごめん。痛かったでしょ?」
「いえ。和成が支えてくれていたので大丈夫でしたよ。」
「・・・・そう?」
「和成こそ大丈夫ですか?スッキリしました?」

こつんと、自分の額を高尾の額にくっつける。
そしてそのまま会話を始めた。

「・・・・あ・・・・まだちょっと辛いけど、うん。なんか楽になったかも?」
「それは良かった。これからは辛くなったらすぐに僕の所に来て下さい。抱きクッション代わりになるくらいはしてあげます。」
「・・・クッション?抱き枕じゃなくて?」
「それかテディベアですかね?ポジション的に。」
「ふっ・・・何だよそれ。」

高尾はいつもとは違う馬鹿みたいな笑いでなく、穏やかな笑みを浮かべる。

「あ。やっと笑いましたね?」
「・・・・・あ。」
「少しは復活した様で良かった。」
「・・・・・・のんちゃん。」
「和成・・・?どうかし・・・・っ!?」

ぐいっと、高尾はテツノの手を引っ張る。
額同士をくっつけあって近かった互いの顔の距離が無くなった。

チュ・・・・

軽い子供同士がやるような、口と口をただ合わせただけのキスを高尾がする。

「・・・・・和成?」
「・・・・・ごめん。本当はちゃんとしたかったけど。でも今の俺にはこれが限界だった。」
「・・・・・無理しなくて良いのに。」
「無理じゃない。本当にしたかったんだよ。でも、あの時の事思い出して、ためらいが出た。俺なんかがのんちゃんに触れていいのかって。」
「・・・・・・・馬鹿ですね。」

ぎゅっと、テツノは高尾を抱きしめる。

「散々人を抱きしめておいて今更躊躇しますか。」
「・・・・だってさ・・・・しょうがねーじゃん。トラウマになっちゃってんだから。」
「なら、そんなトラウマが消えるくらいに僕が抱きつきます。」
「・・・・・抱きつくだけかよ?」
「なら・・・・。」

チュッと、テツノが高尾の額にキスをした。

「額と頬なら何時でも何処でもキスしてあげます。」
「それ以外は?」
「二人きりの時ですかね?」
「・・・・・ありがとな。」
「そろそろ帰りますか?それとも今からデートします?」
「・・・・今日は帰ってのんちゃん抱っこしてたい。」
「分かりました。では、今日は帰りましょう。」
「ん。」

差し伸べられた手を高尾は取る。

「皆さんに報告しないとですね。」
「何を?」
「僕達お付き合いする事になりましたって。」
「そーだね。のんちゃんは俺のだって先輩達に取られない様に釘ささなきゃ。」
「帰りましょう?」
「おー。」

そう言った二人の手はしっかりと繋がっていた。
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