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□孤独な少年
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「ったく・・・なんで森山がこんなトコにいんだよ?」
「森山さん、って海常の人ですよね。黄瀬君によく相談されました。女の子紹介してーってうるさいって。」

今日は土曜日。
テスト期間で部活がなかったが、特に外出禁止とは言われていない為、黒子と宮地はスポーツショップにでも行こうと街を歩いていた。
その近くで見つけたのは、あちこちに傷を作ってところどころ破けた海常の制服を着ている森山だった。
黒子はすかさず救急車を呼び、宮地と共に今は病院にいる。

「・・・もしかして、アイツか?」
「・・・もしかしなくてもそうかもしれませんね。ついに神奈川まで手を伸ばしましたか・・・・・。」

ハア、とわざとらしくため息をつく黒子。

「あーあ、せっかく新しいエナメル買おうと思ったんだけどな・・・。」
「僕だってそうですよ。バッシュの紐が切れたから買おうと思ってたんですけど・・・。」
「まあ明日日曜だし、リトライするか?」
「ですね。今日はとりあえず森山さんの様子見ましょう。」

病院のロビーでソファーに座りながら言う宮地と黒子。
花宮先輩に連絡してきます、と言って黒子は病院の外に出た。

「・・・あ、もしもし?」
『んだ?』
「海常の森山さん見つけました。」
『は?』
「傷だらけで倒れてました。救急車呼んで今病院にいます。」
『・・・悪い、最初っから説明してくれ。』
「あ、はい。まず、僕と宮地先輩がスポーツショップに行く旨は話してありましたよね?」
『ああ。』
「そこに行く途中に、海常の制服を来ている人を見つけたんです。」
『へぇ?』
「それで、珍しいなーと思ってたらその人がいきなり座り込んで・・・ていうか倒れて。」
『・・・はぁ。』
「宮地先輩と一緒に駆け寄ったんです。そしたらその人森山さんで。」
『・・・ほう。』
「で、救急車呼んだんです。待ってる時に、森山さんがずっと言ってた言葉が気になったので連絡してみました。」
『・・・・もしかして、』
「そのもしかしてです。俺はやってない、どうして、やめろ、なんで・・・・どう考えてもアレですよね?」
『・・・んで、お前はどうしたいんだ?』
「あ、はい。森山さん助けたいなーって」
『やっぱりな。んで?方法は?』
「直で海常行ってもいいんですけど・・・。」
『けど?』
「・・・いえ、なんでもないです。よければ病院来てくれませんか?」
『・・・あっそ。でも悪いな、俺今テツノと一緒に原シバいてっから古橋と伊月に行ってもらうわ。』
「あ、分かりました。テツノには程々にする様にと伝えておいて下さい。じゃあ待ってますね。」
『おー、じゃあな。』
「はい、では。」

花宮らしいな、と小さく笑って黒子は宮地の元へと走って戻っていった。

「宮地先輩!」
「んぁ?」
「花宮先輩に話したんですけど、古橋先輩と伊月先輩が来てくれるそうです。」
「へぇ・・・。」
「・・・白鷺、ってつぶやいてましたね。」
「・・・だな。」

花宮にはわざと言わなかったのだろう。
森山は、確かにつぶやいていた。「違う、白鷺が・・・」と。

「・・・どこまで人を傷つければ気が済むんでしょうか、あのクズは。」
「・・・テツヤ、お前大分口悪くなったよな?」
「そうですか?」

ケロリとして言う黒子。
お前はどこまで行ってもお前だよな。そうですか?そんなんでもないですけど。
そんな会話を繰り広げていると、白衣を着た医者がこちらに歩いてきた。

「黒子さんと宮地さんですね?」
「あ、はい。森山は・・・。」
「大丈夫です。体の方はね・・・。」
「・・・ということは、精神的な傷が大きい・・・ということですか?」

森山は、と宮地が言うと、医者は渋い顔をして答える。
精神的なもの、という黒子の意見に医者は頷く。

「・・・森山くんの病室に、来て欲しいんです。付いてきて下さい。」

拒否は認めない、という医者の態度。
その態度に若干気圧されつつも、黒子と宮地は医者について行った。
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