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□第二の犠牲者
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「花宮、どういうことだ?黒子が嫌われてて味方が水戸部一人・・・。」
「どうもこうも、言葉の通りですよ宮地さん。味方よりの傍観者であればいますけどね。後は色々事情があって表向き味方出来ないのが一人。因みに情報源はそいつだ。」
顔をしかめながら言う花宮。
「それに今この場に居ないが、事情を知ったテツノが怒り狂ってる。今はとある人に押さえてもらっていますから、落ち着いたら合流する予定です。」
なぜ、彼はそこまでして他校のいじめられている人間を助けたがるのだろうか。
後で聞いてみっか、と頭の片隅で思いながら宮地はこう続けた。
「ソイツの名前教えてくれ。知り合いなら説得してみるわ。」
「あ、オレもやります!!」
すかさず高尾が手を上げる。
宮地はニヤっと笑い、
「誠凛には流石に行ってねーだろ。俺と高尾が霧崎に転校してるなんて情報はよ。」
「・・・そうですね。では頼みます。俺が先程言った、味方よりの傍観者は伊月俊です。まあ、既に味方についている可能性も否めませんが・・・。もう一人は黒子テツナ。黒子テツヤとテツノの姉妹です。彼女の方はテツノが連れて来ると思うんでそっちは問題ありません。」
「マジ!?伊月さん!さっすが伊月さん!会ったこと無いけど、見る目あるぅ!!」
目をキラキラと輝かせて言う高尾。
やはり、特殊な“目”を持つ者同士、敵対はしたくなかったのだろう。
「あ、俺も行っていいー?」
そこで小さく手を挙げたのは原だった。
原は宮地が来てからというもの、彼とよく一緒にいた。
原が宮地の性格に惹かれて、というのもあるが、やはり共通の趣味(音楽鑑賞とでも言っておこうか)を持っていたのが大きかったのだろう。
「ああ、いいぜ。じゃあ花宮、俺と高尾と原で黒子と水戸部と伊月拉致ってくりゃいいんだろ?」
「拉致って・・・まあその通りですけど。待ち合わせ場所はあの時のファミレスでいいですか?」
「おー。」
「じゃあお願いします。今日の部活は自主練にすっかぁ・・・。」
携帯を開き、部員にメールを一斉送信する。
“今日の部活は自主練”という簡潔な文章。
放課後が楽しみだ、と小さく笑った花宮に、その場にいた全員が笑い返した。
楽しみにしている時間、というのはとても早く訪れる。
今日の授業などほとんど頭に入らなかった高尾は、校門で宮地と原を待っていた。
「お待たせ。」
「お、早いじゃん高尾!」
軽く手を振ってくる宮地と、その後ろで風船ガムを膨らませている原。
ああ、いつもどおりだなと小さく笑った高尾の頭を宮地はわしゃわしゃと撫で、
「んじゃ行くか!」
と言った。
目的地は誠凛高校。
待ってろよ、今助けてやっからな!!