performance

□思いがけない出逢い
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全てを話し終えた黒子はこの後に来る衝動に備えて目を閉じた。
どうせ花宮も自身の無実を信じてくれないだろうと。
だけどそれは良い意味で期待を裏切った。

「それなら俺と来るか?」

その手は黒子を殴らず、黒子に差し伸べられた。

「・・・・え?」
「復讐したくないか?お前から居場所とバスケを奪った奴に。」
「・・・・・・・それは。」
「もう、信じられないんだろ?キセキが。学校が。」
「・・・・・・・・・。」

そう言われ、違うと言えなかった。
どんなにキセキを信じても彼らは自分を信じてくれない。
それでも気付いてしまえば戻れないと分かっていた為その気持ちに蓋をしていた。
悲しみ・憎しみ・恨みを。
今の状況がどうあれ、彼らをそんな醜い感情で見たくなかったから。

「無言は肯定と認めるぜ?」
「・・・・・・。」

それでももう限界が来ていたのだろう。
花宮の言葉に否定が一切出来なくなってしまった。

「俺は一人暮らしだから居候が一人増えたくらいじゃ痛くもかゆくもねぇしな。」
「・・・あのそれは・・・どういう・・・?」
「今日からお前は俺の家族って事だ。」
「・・・・・・まさか悪童から家族という言葉を聞くとは・・・。」

呆然と呟くと思いっきり頭上に手刀を喰らわされた。
もの凄い痛い。
が、本気で傷付ける気がないと、加減してくれているのが分かる。
それが何より嬉しく・・・救いだった。

「・・・・・宜しくお願いします。」
「ああ。」

もう、戻れない・・・。
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