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□壊れた日常
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あの事件から三日目。
事件が起きた次の日には学校中に噂が広まり黒子は白鷺を襲った強姦魔扱い。
更に噂は尾ひれをつけ、ストーカー疑惑まで。
そして噂を信じた学校は生徒だけでなく教師までもが黒子を断罪した。
クラスでは虐めが、更には正義感を拗らせ暴力を振る生徒、制裁と称して黒子を殴り蹴り切り刻むキセキ達。
あげく、赤司と白鷺によって黒子の両親にもその噂が耳に入り世間体を気にする両親に半ば居ない者とされる日々を送る。
教師は赤司が怖くて見て見ぬ振りか、噂を鵜呑みにして嫌悪感丸出しの目で睨んで来る。
事実、黒子の味方は誰一人いない。
唯一の救いは風邪で事件の前の日から今まで学校を休んでいる桃井と、幼馴染である緑間が家の都合で学校を休学して事件の事を知らない事だろう。
この二人は前から白鷺の性格を疑っていた(曰く誰にでも優しくそれなりに顔が良く(二人は思っていないらしいが)文武両道な奴に裏がないわけない)ので話せば味方になってくれると思いたい。
さすがに二人にも疑われたら生きて行けない。
少なくとも緑間が家に戻って来て学校に来るのは五日後だ。
あと五日我慢すれば良い。
緑間が来て黒子を信じてくれればキセキ達も話くらい聞いてくれるようになるだろう。
そうすれば少しずつ誤解が解けてまた前みたいに皆でバスケが出来る。
そう思って学校に行った。
だけど今回は今まで以上に酷かった。
青峰に顔を殴られ。(今まで顔は殴られなかったのに)
黄瀬に根性焼きを入れられ。(君は喫煙なんてする人じゃなかったのに)
紫原に右腕を握りつぶされ。(どんなに馬鹿力でも人を怪我させる事はなかったのに)
赤司に右目を鋏で潰され。(いくら君でもそこまでするとは思いませんでした)
下駄箱には動物と虫の死骸が敷き詰めれており、死ねと書かれた張り紙が貼付けられていた。
全校生徒は無視され影口をささやかれる。
クラスに行くと机の上には菊の花があり、机の引き出しには教科書の代わりに生塵。
肝心の教科書はボロボロにされてゴミ箱に捨てられていた。
黒板には「強姦魔は消えろ!ストーカーに制裁を!」の文字がわざわざ赤い・・・ピンクのチョークで書かれている。
授業中は教師に大学レベルの問題を出題され、間違えれば罰として教室の一番後ろに立たされた状態で授業を受けさせられる。
勿論正解するまで席に着く事は許されなかった。
休み時間になる度、歪な正義感を持つものやストレス発散で黒子を殴りに不良がや先輩達がやってくる。
昼休みは両親に知られてからはお弁当が作ってもらえなくなったので購買に行くがここでも赤司の手が回っているらしく、パンどころか飲み物さえ売ってもらえなかった。
部活も二日目には強制退部させられ、バスケも出来ない。
家に帰っても両親は最初から息子なんていなかったかの様に振る舞う。
ついに黒子の自室もなくなり、ベッドも机も洋服も本も全て捨てられてしまった。
家にも自分の居場所が完全に無くなってしまった。
これ以上傷つきたくなくて黒子は家を飛び出した。
怪我の手当もせず、服も切り刻まれてボロボロのままな所為か、何時もなら誰の目にも留まらないのに今は好奇目や嫌悪の目で見られる。

嫌だ
嫌だ
嫌だ
もう嫌だ!

そう叫びたい衝動を抑え、黒子はとある場所へたどり着く。
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