performance

□びっくり屋敷
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「お、おじゃまします!」
「どうぞ。」

俺があの宣言をした日、黒子は笑ってこう言っていた。
『じゃ、今週の土曜日に僕の部屋に泊まってください。一緒に遊びましょう?』
その約束を果たすべく、俺はエナメルバッグにパジャマやら宿題やらを入れて霧崎第一の真後ろにあるでっかい洋館みたいな家が黒子が今暮らしている所らしい。
校舎並みとか・・・でかいな。
そしてその家にある黒子の部屋に来ていた。

「本当に来てくれたんですね、感激です。」
「だって黒子との約束だし。俺も楽しみにしてたんだ。」

ニカっと笑うと、黒子は「僕もです」と言って綺麗に笑う。
部屋の中は、黒子だなぁって感じがした。
シンプルでありながらも生活に不自由はなさそうな部屋。
本棚らしきものが部屋に無かったのが少し気になったが、それに気付いた黒子に専用の書斎があると聞いて納得した。
というか書斎・・・。
黒子って実はそれなりの家のお嬢様なのか?
部屋の中央に置かれたテーブルにはノートパソコンがあり、どこかのチャットルームのようなウインドウが開かれていた。

「意外だなあ。」
「何がですか?」
「黒子もチャットとかやるんだって思って。」
「ああ、これですか。」

黒子はノートパソコンのキーをカタカタと打ち、“ただいまです”と入力する。
それに応答するように、“おかえりー”“早いなw”などという言葉が流れる。

「よかったら降旗君も参加します?パスワード制ですけど。」
「えっ?でもそれって。」
「あ、いいんですよ。皆さんと話して、降旗君は参加してもいいって許可もらってますから。」

“降旗君迷ってるなう”と黒子に打ち込まれ、何言ってんだよ!と軽く頭を叩けば黒子はクスクスと笑う。

「やりたいけど・・・でも俺誠凛だよ?霧崎の情報流しちゃうかもしれないじゃん。」
「大丈夫です。僕等は降旗君のこと信じてますし、僕等がいる時と練習メニューは変わっていないと思いますから。僕等は普通の練習メニューしかこなしていませんし、問題ありませんよ。」

俺はぐっと言葉に詰まる。
黒子の言うとおりだ。

「やっぱり黒子はすごいなぁ・・・。」
「人間観察が趣味なだけですから。」
「どこの情報屋でいらっしゃいますか。」
「あ、降旗君デュラララ知ってるんですね?」
「昨日図書室で見つけたんだ。図書委員なのにあったの知らなかった。」
「僕がいたときにはありましたよ?」
「えっ。」
「図書室の本、ほとんど制覇しました。」
「マジで!?」
「マジです。」

そんな他愛もない話をしながら、俺は黒子にパスワードを教えてもらってチャットルームに入る。
そのチャットルームには、見知った名前も多く表示されていた。

降旗光樹【はじめまして!黒子から教えてもらって来ました、誠凛の降旗です。】
黒子テツヤ【降旗君をあまりいじめてあげないでくださいね(・・)v】
花宮真【お前が言うか】
伊月俊【お、いらっしゃーい(^▽^)ノ】
水戸部凛之介【フリ、久しぶり!】
森山由孝【いらっしゃい降旗君。練習試合以来だね(*´`)】
降旗光樹【わわ、たくさん居ますね】
原一哉【お、トイレ言ってるあいだになんか増えてる。誰?】
黒子テツヤ【原先輩、ログ見てください。僕の友達です】
原一哉【おk把握。はじめましてー、原だよん☆】
古橋康次郎【<緊急>誰かウチのクラスの数学の宿題の範囲知らないか?メモとるの忘れてた】
花宮真【電話で聞けアホ。182ページから190ページまでじゃねぇの?】
黒子テツナ【それ言ったら、一緒の家に住んでいるのにチャットをしている私達転校生組はどうなんですか?】
黒子テツノ【そうですよね。会話をしましょう会話を。リビングでWWWW】
花宮真【いや、しらねーよ?】
―――高尾和成さんが入室しました―――
高尾和成【宿題やってたら遅くなっちゃいましたー☆宮地さんももうちょいできますよー】
古橋康次郎【花宮ありがとう。んじゃ宿題やってくるからROMる】
降旗光樹【たくさん居ますね(-_-;)】
高尾和成【お?新しい人がいる!】
原一哉【うわー古橋マジメー】
―――宮地清志さんが入室しました―――
宮地清志【ワリ、高尾シバいてたら遅くなった】
降旗光樹【はじめまして】
水戸部凛之介【フリ、誠凛はどう?】
宮地清志【お、見ない名前がある。ログ遡ってくるわ】
高尾和成【降旗君把握ー!】
降旗光樹【誠凛は、そうですね・・・。宣言したとおり、俺頑張ってます!】
伊月俊【いじめられてない?大丈夫?】
花宮真【そういや伊月がずっと心配してたな。いじめられてないかとかそんなん】
降旗光樹【大丈夫です!中立にいた人とか、皆を説得したら図書委員の人たちは黒子を信じるって!】
黒子テツヤ【え】
森山由孝【よかったじゃないか】
黒子テツヤ【Why?】
花宮真【そういや降旗って今日はテツヤん部屋に泊まるんだったな。テツヤが嬉々として話してたぜ】
黒子テツヤ【いやああ花宮さん言わないでうわあああああ】
水戸部凛之介【黒子、落ち着いて】
宮地清志【降旗把握。と思ったら黒子どうしたww】
高尾和成【テっちゃんwww】
降旗光樹【ちょw黒子が顔真っ赤にしてますwwwww】

「ちょ、そんなこと言わないでくださいよ降旗くん!」

パシっと背中を叩かれる。
いてっと言って笑ってみれば、黒子は真っ赤な顔でふにゃっと笑う。
その間にも、“黒子乙ww”や“降旗、写メ撮れ写メ!”などという言葉が流れていく。

「黒子人気者だなあ。」
「うっさいです!」

ぷくぅっと頬をふくらませて言う黒子。
ああ、やっぱり俺は黒子達と一緒にいるほうが面白いや。
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