performance

□合宿開始
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「やっぱりさ、女の子がいなきゃ運動部の合宿って成り立たないと思うんだよね!」
「うっせぇ黙れ色ボケ男。」
「つか、三つ子いんじゃん。」
「三つ子は相手持ちだろ!?」
「テツヤは相手いなくね?」
「「姉さんに手を出したら処刑します。」」
「・・・・・妹ちゃん達が怖いです。」
「ざまあWWWW」
「テツヤ、一昨日の練習の後に公園いなかったか?」
「ああ、あれですか。現在特訓中です、トップシークレットでお願いします。」
「あ、そーだったの?」
「春日ぁ、宮地がああ!!」
「はいはい、身長伸ばそうねぃ。」
「お前も酷!」
「やっぱり疲れるんですか?」
「うん、視点の切り替えはできても頭とか体はすぐについていかないしね。高尾もそうだろ?」
「あー、わかります!自慢ですけど俺の場合伊月サンよりも視野広いんで〜。」
「水戸部!高尾が生意気!」
「・・・・!・・・・!!」
「大丈夫、伊月も高尾も大事なチームメイトだから!やって。」
「相変わらずのサトリっぷりですね、今吉センパイ。」
「・・・・古橋君ワシの事嫌いやろ。」
「黙秘権を行使します。」
「あら、なんかデジャヴ。秀徳との練習試合の後にこんな会話しなかったかしら?」
「あー、したなあ。つかよく覚えてんな実渕。」
「転校したての頃だったもの、結構覚えてるわよ。」
「へー!」

体育館につき、わいわいと騒ぐ霧崎第一のメンバー。
それを睨む視線は、いくつあるのだろうか。
1,2,3,4,5・・・15まで数えて、瀬戸はカウントを放棄した。
やっぱウチは嫌われ者だしな。
そう結論づけて、瀬戸は首から下げていたアイマスクを持ち上げて寝息を立て始めた。

「宮地さん、また瀬戸寝てる!」

原が瀬戸の頭をペシンと叩き、近くにいた宮地にそう言う。

「・・・バスの中でずっと寝てなかったっけか?」
「おーい瀬戸ー。」

呆れた顔をする宮地に言葉をかぶせるように、今吉が瀬戸のアイマスクを上げて頬をペチペチとたたく。

「・・・ふがっ。」

そんな間抜けな声を出して、瀬戸はゆっくりと目を開けた。

「バァカ、そろそろ始まんぞ。」
「あ、悪い悪い。」

わたわたとアイマスクをしまい、列の一番後ろに並ぶ。

「―――・・・・、有意義な合宿にしましょう!」

赤司の声に、集まったバスケ部の部員達は「はいっ!」と返事をする。
その後、各顧問挨拶や部長代表挨拶等が長々と続く。
ずっと立ちっぱなしで疲れ始めた頃、「これで開会式を終わります」という声が聞こえた。
期間は一週間、朝食・夕食はバイキング形式で昼食は各学校で自炊する。
就寝部屋は学校別に分かれていて、合宿中の練習は部長が了承していればどの学校と一緒にしても自由。

「つか、ウチと一緒に練習したがるモノ好きいんすか?」
「・・・高尾、お前すっかり霧崎精神根付いてんな。」
「えー、だって花宮さんが近くにいるからー。」
「俺のせいかよ!」

各自が体育館から出ていく中、高尾と花宮と宮地は少し体育館に残って練習の相談をしていた。

「で、秀徳とはやったんで今度は誠凛辺りとやろうかと。まあ、あのメガネが了承すればの話ですけど。」
「誠凛のカントクもいたろ。誰だっけ、相田リコ?」
「あー、いましたね!」
「・・・・なんとかします。交渉するとき、元誠凛の中の3人から誰か連れて行きたいんですけど・・・。」

少し迷ったような声で花宮は言う。

「誰かじゃなくて全員連れてきゃいんじゃね?その方があちらさんもビックリすんだろ。」
「あー、ビデオカメラ持ってくりゃよかった!びっくりした顔みたい!!」
「じゃあ、私が代わりに撮っておきます。」
「高尾悪趣味。テツナもノるな。そうですね、全員連れて行きましょうか。」
「うわあん、花宮さんヒドーい!和成君泣いちゃいますよ!」
「「キモい。」」

チーン、という効果音を自分で言って高尾は花宮に向かってわざと倒れる。
花宮はもう慣れたとでも言うかのように高尾の頭を数回ポンポンと撫で、「じゃあ行ってきます」と言ってその場を去った。
その後にはテツナが着いて行く。

「・・・で、なんの用?大坪。」
「あ、やっぱ大坪サンいたんスね!」

柱のむこうに声をかける宮地。

「・・・やっぱりバレてたか。」
「そりゃ、198もある巨体がいりゃあな。」

フっと笑って言う宮地。
大坪は「やっぱり宮地にはかなわないか」と言って両手を軽く上げた。

「で、何の用ですか?」

軌道修正をするように真面目な声音で言う高尾。

「ああ、そうだな・・・。単刀直入に言いたい。」

目を伏せて、ためらいがちに大坪は言葉を切り出した。

「秀徳に、戻ってこないか?」
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