それいけ!ヒーロー部
□○プロローグ○
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「ヒーロー…部?」
扉にでかでかと張られている紙に、これまたでかでかと行書体で書かれてある文字を思わず呟いた。
へぇ、ヒーロー部なんてあるんだあはは、と笑い飛ばしてあげられるほど私はおおらかな人間じゃない。
思考だっていたって普通だと自負している。(自負できるようなことでもないけど)
まぁ、つまり。何が言いたいかというと私は今非常にアンビリーバボーなのだ。
アンビリーバボー。信じられない。
もう一度じぃっと目の前の張り紙の文字を見つめてみる。ほとんど睨みつけているような状態になっても文字の羅列は変わらない。
「ヒーロー部」。「ヒーロー部」だ。
睨み続けたせいで目が疲れてくる。いかんいかん。
とりあえず混乱しているらしい頭を落ち着かせるために大きく息を吸ってみた。深呼吸はいい。手軽に気持ちを落ち着かせてくれる方法だ。
すーはーすーはーと2,3回ほど深呼吸を繰り返し、再度目を見開いた。
「ヒーロー部」。「ヒーロー部」だ。
いくら落ち着こうが張り紙の文字は変わらない。
…わかった。認めよう。
どうやらこの高校では「ヒーロー部」とやらが存在するらしい。認めたくなくても存在するようなので仕方がない。
しかし、しかしだ。
「ヒーロー部」ってなんだ?
私の中の「ヒーロー」の定義は子供が見るなんとか戦隊とかそんな感じの全身タイツの正義の味方のそれだ。
私だって小学生くらいのときにはテレビに食いついて見るほど好きだったし、ヒーローごっこなんて模倣遊びをするくらいには憧れていたこともあった。
でもあくまでそれは小学生の頃の話で、まかり間違っても高校生の自分が戦隊モノのテレビを見たり、ヒーローごっこをしたり、ましてや「ヒーロー」に憧れを抱いていたりはしない。