・NL小説・

□Sleep
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「………」

フィリアはしばしその寝顔に見とれていた。

いつも何かを警戒し、目をつり上げて笑うゼロスのこんなにもやすらかな表情を見るなんて長年つきまとわれてきたフィリアからしても珍しい。

そういえばいつもこの時間になれば、嫌がらせのように店に邪魔しにくるくせに今日は現れなかったのを思い出す。

よほど前からここで、寝ていたのだろうか。

わずかにゼロスの顔から疲労が見える。思わずベットに寄りかかりその顔を撫でた。

仕事が忙しいのに、無理してここに通うからよ。

自業自得だといえばそうだが、フィリアには自分にも責任があるように思えて仕方なかった。

一度も彼を快く迎えてやったことがない。

顔を合わせれば互いに罵倒しあったり、喧嘩したりそんなことばっかりだった。

今だけは素直じゃない自分を詫びる気持ちになっていた。かと言っても次から彼への態度を改められる自信はない。

だからせめて、ゼロスが安らげる時間だけは守ってあげようと思った。

ゼロスが忙しい合間を縫ってでも、フィリアの元に訪れてるのは少なくともそこに安らぎを感じてくれているから。

自分で思って恥ずかしい気もするが、自惚れじゃないと信じたい。

もしかしたら、守るだけじゃなくてそんな時間を共有することも出来るだろうか。

ほんの一瞬だけ考えて、ありえないわと微笑んだ。
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