小説(long2)

□ハルカ、カナタ 第5章
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なのに何故、サスケをこんなにも必死に追いかけているのか・・・。

それはもちろん、サスケに復讐を止めさせたかったから。
サスケがどう思おうが、自分にとっては今でもサスケは“大切な仲間”。だ。
放っておくことなど、できるはずがない。
このままでは復讐のために、サスケは大蛇丸にその身をも差し出してしまう。
そんなことは絶対にさせたくなかった。

それに、約束したんだ。

『必ずサスケを連れ戻すっ!』

そうサクラちゃんに誓った。
だから、・・・。


ナルトは抱えていた膝をギュッと握り締めた。
でも、・・・本当はそれだけじゃ、ない。

本当は認めたくなかったんだ。
サスケが自分たちではなく、大蛇丸を選んだこと。
自分ではダメだったんだって、こと・・・。

その事実を受け入れるのが嫌で、夢中で追いかけてたんだ。
自分など眼中にないサスケをもう一度振り向かせたくて。

ちゃんと自分を見て欲しかった。
自分を必要として、欲しかったのだ。

自分はこんなにも、・・・。


「こんなにも、な、に・・・?」

ナルトは思わず呟く。

こんなにも、サスケのことばかり考えているのに−−−。



「ありゃ?こんなところでどしたの、ナルト?」

ゆっくりと視線をあげれば、案山子が首を傾げて立っていた。

「カ、・・・案山子、先生・・・っ」

何故かぶわっと、涙が溢れてきた。
頭がグチャグチャで、自分の感情をコントロールできなかった。

「ちょ、ナルト?!」

さすがに突然のことで驚いたのか、案山子は慌ててしゃがみ込み、顔を覗きこむようにして。

「何で、泣いてるのかな?まさ、か・・・とは思うけど、・・・」

佐助に何か、された?
そう尋ねられ、思わずビクリと震えてしまった。
でも、直ぐに首をぶんぶんと振る。
確かに、何かされたと言えばされていて、そのことが発端で色々あったのだが・・・。

「佐助、は、・・・何も、悪くないってば、よ・・・」

佐助の言葉に悪気がないのはわかっていた。
それに勝手に動揺し、部屋を飛び出したのは自分。

今頃佐助は心配しているだろうし、酷い言葉を投げつけてしまっていたから傷つけてしまったかも
しれない。
そう思って俯いたナルトの頭を案山子は大きな手で優しく撫でる。

「そっか・・・。なら、いいんだ・・・。でも、何かあったら直ぐに先生に良いな。身体におかしなとこ
ろとかはないか?そうそう、腹減っただろ?朝ごはんできてるからな」

深くは突っ込まず、自分のことを気に掛けてくれる案山子に、ナルトは少しホッとした。
自分でも、よくわからない感情・・・。
まだ、それを受け止められる自信がなかった。

「俺ってば、どこも悪くないってばよ。心配掛けて、ごめんなさいってば・・・」

そう、ぎこちない笑顔で答えたナルトの頭を、案山子はもう一度そっと撫でた。



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