小説(long)
□一片に、舞う 第1章
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カカシはフッ、笑う。
まだまだ子どもだと思っていた彼らが、いつのまにか里の先頭に立ち、力強く、皆を引っ張っていく。
きっと、その姿を見て、次の世代も育っていくのだ。
そうやって、続いていく。
受け継がれる“木の葉の意志”−−−。
「大切に、したいよね」
カカシの漏らした言葉に、サクラはその意味を感じ取り、大きく頷く。
「大切に、します」
守りたいもの。守る、べきもの。
「私たちは木の葉の忍、ですから」
それを、誇らしく、思う。
忍びは戦争の道具でしかない。ずっとそう、思われて、きた。
自分達も、そう、どこかで自覚していた。
忍の生きる意味とは、己の国を守るために戦うこと。
そうやって、忍の里とは、在るもの。
それは、事実だ。
けれど、自分達も“人間”。
感情があある。それぞれの思いが、ある。
それは必要のないものだと、今尚、教える忍の里もあるだろう。
それでも、“木の葉”は主張する。
自分自身を、自分達を守れずして、他の何が守れると言うのか、と。
本当の“強さ”とは、何なのか。
サクラは今回の件で、その答えを自分なりに、見つけていた。
それは、“生きようとする”こと。“在り続ける”こと。
己を大事にし、そこに在ろうとするからこそ、“守りたい”ものができ、“守ろう”と、する。
決して、自分ひとりでは、在ることはできない。
仲間がいて、愛する人たちがいて。
そんな自分のいるべき場所があるからこそ、本当に“強く”なれる、のだと。
だからこそ、自分に出来ること、すべき事を、する。
たぶんきっと、今、それぞれがそれぞれに、その思いを胸に、生きている。
それが、“木の葉の意志”であり、“木の葉の忍”である『自分』なのだと。
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