小説(long)

□一片に、舞う 第1章
2ページ/7ページ

カカシはフッ、笑う。

まだまだ子どもだと思っていた彼らが、いつのまにか里の先頭に立ち、力強く、皆を引っ張っていく。
きっと、その姿を見て、次の世代も育っていくのだ。
そうやって、続いていく。

受け継がれる“木の葉の意志”−−−。

「大切に、したいよね」

カカシの漏らした言葉に、サクラはその意味を感じ取り、大きく頷く。

「大切に、します」

守りたいもの。守る、べきもの。


「私たちは木の葉の忍、ですから」

それを、誇らしく、思う。


忍びは戦争の道具でしかない。ずっとそう、思われて、きた。
自分達も、そう、どこかで自覚していた。
忍の生きる意味とは、己の国を守るために戦うこと。

そうやって、忍の里とは、在るもの。

それは、事実だ。

けれど、自分達も“人間”。
感情があある。それぞれの思いが、ある。

それは必要のないものだと、今尚、教える忍の里もあるだろう。

それでも、“木の葉”は主張する。
自分自身を、自分達を守れずして、他の何が守れると言うのか、と。

本当の“強さ”とは、何なのか。

サクラは今回の件で、その答えを自分なりに、見つけていた。

それは、“生きようとする”こと。“在り続ける”こと。
己を大事にし、そこに在ろうとするからこそ、“守りたい”ものができ、“守ろう”と、する。

決して、自分ひとりでは、在ることはできない。
仲間がいて、愛する人たちがいて。
そんな自分のいるべき場所があるからこそ、本当に“強く”なれる、のだと。

だからこそ、自分に出来ること、すべき事を、する。

たぶんきっと、今、それぞれがそれぞれに、その思いを胸に、生きている。

それが、“木の葉の意志”であり、“木の葉の忍”である『自分』なのだと。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ