小説(long)

□君を思う、あの空の下
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そう、自分はこの里を飛び出したきり、だった。
あの時、みんなの手を振り切って、サスケを追った。
思い起こせば、自分はどれだけ勝手なことをしたのだろうか・・・。

「それでも、こうしてみんな、良くしてくれる。俺ってば、そんなことも考えられな
かった」

サスケに泣いて縋った。
サスケすら、信じられず、自分は自分の弱さに溺れたのだ。


「俺ってば、本当は全然成長なんかしてないってばよ・・・」

でも・・・。

「成長、しなきゃ。みんなにちゃんと、認めてもらえるように」

もう、逃げたりなんかしない。


自分は、サスケと一緒にいたい。
そして、それと同じくらい望むものがある。
この里を、守りたい。大切な人を、守りたい。

「俺っては、欲張りだって、ば・・・」

でも、それが本心。
そのために、できることを、する。どんなことがあっても、もう、迷ったりしない。


「いいんじゃねぇの」

シカマルは身をかがめ、なるとに視線を合わせる。

「お前、らしいっつうの」

シカマルは思い出す。
ああ、こいつはそういうヤツだった。
馬鹿だけど、いつもこうやって真っ直ぐに前に突き進む。
それがどれだけ周りを勇気付けてきたのか・・・。


「意外性ナンバー1っつうのも、伊達じゃねぇな」

シカマルは綱手の言葉を思い出し、ふっと、笑う。
自分は頭がいいと、思う。
常に、人の心情を読み、次にしなければならないことを考えることができる。
けれど、

(こいつにだけは、いつも驚かされるよなぁ・・・)

いつも自分に素直で、一生懸命ななると。


「変わって、ねぇな・・・」

そのことに、酷く安堵する。

「シカマル?」

「いや、なんでもねぇよ」


綱手の言うように、なるとはちゃんと、成長している。それも、大切なものを失うことなく、
変わることなく。


もう、自分が言うことなど何もない。

「お前は、お前だよ、なると・・・」



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