小説(long)
□君を思う、あの空の下
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「うちはサスケ、怪我の具合はどうだ」
病室を訪れた綱手はサクラからカルテを受け取りながら事務的に言葉を噤む。
一通り目を通す。
「これなら後遺症も残らんだろう。リハビリは必要だがな」
木の葉の忍びとして、再びあるために。
「サクラ、お前はきちんと食って寝ているか?」
綱手はカルテをサクラの手に戻しながら問う。
サクラは己のかわいい弟子だ。
頭の良い、優秀なでし。そして何よりもやさしい心を持っている。
それゆえに、“脆さ”がある。
「はい、綱手様」
「そうか・・・」
「綱手様・・・」
「わかっている」
窓の外から聞こえる鳥のさえずり。
お互いを呼び合う、ささやかな響き。
白く、無機質な空間。そこにある静けさを和らげるように、やさしく響く。
ああ、あの空はどこまでも続いている・・・。
「一連の事件については、“うちはマダラ”の亡骸回収により一応のカタはついた」
戦いの痕、戦場となった森の一体は全て焼き尽くされていた。
地面はひび割れ、土壌は焼け爛れ、全ての命が奪いつくされた。
愚かな人間の所業。
ただ、そこにあるだけの、いくつもの生あるものが踏みにじられた世界。
そこに佇む同じ人間たち。
探したのは二つの亡骸。いや残骸とでもいうのか・・・。
どんな形であろうが、証が必要だった。
滑稽すぎるその風景に、綱手は吐き気がした。
「捜索は1週間で打ち切った。あいつは、“うずまきなると”はその後2週間経った
今でも、『生死不明』だ」
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