小説(long)

□君を思う、あの空の下
2ページ/5ページ

気がつくと、そこは白い天井。鼻につくアルコールの匂い。
そして、体中を襲う激痛。

(俺は、生きているのか・・・)

痛みを感じるということは、そういうことだ。
まだ頭は霞がかかったようにぼんやりしているが、意識ははっきりしている。
腕を動かそうとしてみるが、うまくいかない。
首だけは、かすかに動く。

(だが・・・、これじゃあ、どうしようもない・・・)

思わずもれるため息。


「意外とあきらめがいいんだな」

静かな声が病室に響く。

「まあ、そんな身体じゃ自分で死ぬことすらできんだろう」

ゆっくり近づいてくるその姿は五代目火影。
さすがにその表情には疲労が色濃く滲んでいる。

「とりあえず、目が覚めたのなら問題はない。ひどい怪我だがな。あとはサクラ
にでもまかせるから何かあったらサクラに伝えろ」

そう言いながら枕元にあるいくつかの医療機器を操作すると、そのまま踵を返す。

「ま、まってくれ・・・」

その後姿に思わず声をかけた。
けれど、聞きたいことがたくさんあるはずなのに、次の言葉が続かない。

「お前はまだ混乱している。記憶も曖昧だろう。全ては落ち着いてから話す」

そう言って火影は姿を消した。


なぜ、自分はここにいる?
ようやくまともな思考が戻り始めた。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ