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□切願
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■■ 切願 ■■
例えサスケを連れ戻しても、昔のままに、戻れる訳ではないのだとわかっていた。
それほど、子どものままじゃ、ない。
既に、仲間達も皆、中忍・上忍となり、それぞれの能力に見合った部署に就いて小隊を率いて任務
をこなす日々。特別な任務でもなければ、一緒になることもない。
里への任務はひっきりなしに舞い込み、毎日が慌しく過ぎていく中で、里の中で顔を合わせること
も稀だ。
それは少し寂しいことだけれど、それが一人前の忍として成長していくということ。里が存続して
いくために、必要な、こと。
そんなことは、十分に承知で。
それでも、変わらないものがあるのだと、信じていたけれど。
でも・・・。
「ナルト」
優しく名を呼ばれ、ナルトは思わずビクリと身体を震わす。
「もっと近くにおいで、ナルト」
その声は、罪だと思う。
思い出して、しまうから。勘違いして、しまいそうになるから・・・。
「君には傍にいて欲しい。私には君が必要なんだよ」
そう囁く声は、とても、あいつに似ていて。
胸に感じる、痛み。
それでも、聞きたかった、言葉。ずっと、望んでいた、もの。
目を開ければ、気付けるのに。思い知ることができるのに。
それができない、自分。
「大丈夫。そのままで、いい。さぁ、おいで・・・」
そっと、髪を撫でられる感触。
「ずっと、私の傍にいてくれるね?」
そんなこは、できない。そう、言わなければならないのに、言葉が声にならない。
ただ、ずっとその声を聞いていたい。何度も、言って欲しい。
例えそれが偽りでも、・・・それでも。
「ナルト?」
再び名を呼ばれ、思わずその名を呼んだ。
「サス、ケ・・・」
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