小説(long2)

□ハルカ、カナタ 第5章
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第5章-2


ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、ナルトはその場にへたり込んだ。

『お前、もしかして・・・、“サスケ”が、好き、なのか・・・?』

そう、佐助に言われて。
自分でも思った以上に動揺、した。
そんな訳、ない−−−。


確かに、自分にとってサスケは特別、だった。
サスケはアカデミーの頃からルックス・才能ともに恵まれていて、くノ一クラスの女の子にもやた
らと人気があった。
自分と同じように家族がいないにも関わらず皆に信頼され、周りにはいつも人が集まっている姿は
純粋に羨ましいと思ったし、正直、憧れていた。

けれど、素直になれなくて。
同じスリーマンセルを組むようになって、最初はとにかく喧嘩ばかりだった。
アカデミーを主席で卒業したサスケとドベの自分。

サスケが自分を見下しているのは知っていたし、だからこそ見返してやりたくて。
何かと張り合ってた。

けれど、それは少しでもサスケに近づきたかったからだ。
認めて、欲しかったんだ。
“仲間”として、“友”として−−−。

そしてやっと、そんなサスケに手が届きそうだったのに、・・・。

『お前とも、戦いたい−−−』

中忍試験の本選を前に、そう言ってくれたサスケ。
その言葉がどんなに嬉しかったことか・・・。


でも、サスケはイタチと再会して変わってしまった。
サスケが家族を、一族を皆殺しにした兄のイタチを激しく憎悪していたことも、その復讐を使命と
していたことも知っていた。

けれど、自分はそれをちゃんと理解できていなかったのかもしれない。
サスケの思いの深さ、暗い闇の部分・・・。
本当はどこかで気付いていたはずなのに、自分のことばかり考えていて。

サスケはイタチに戦いを挑んだものの、全く相手にされず、ボロボロにされた。
さらに、九尾の人柱力である自分にイタチが興味を向けたことで、その嫉妬心も加わり・・・。

サスケが焦っているのは何となくわかった。
病院の屋上で対峙した時も、サスケはいつものサスケではなかった。
それでも、自分もムキになって・・・。

今では、あの時のことをとても後悔していた。
あんな風に戦いたかった訳じゃ、ない−−−。
余計にサスケを追い込んでしまったことも、今なら少し理解していて。

でも、どこかで信じてたんだ。
サスケなら大丈夫、だって・・・。
だって、サスケはもう一人じゃないから。
自分の想いもわかってくれていると、どこかで思っていたんだ・・・。

でも、サスケは・・・。
サスケは結局、“強さ”を求めて里を抜け、大蛇丸の下へと行ってしまった。

それを止めることが、自分には出来なかった。
終末の谷での戦い・・・。
互いに本気でぶつかり合った。
でも、サスケの覚悟は自分の思いよりも強く、そして憎しみは果てしないもの・・・。

サスケには復讐が全て。
そのために必要でないものは容赦なく切り捨てられた。

そう、自分もその中の一つ、だった−−−。



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