小説(long)
□一片に、舞う 第7章
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第7章-2
「とまぁ、こういう状況でもある訳だ・・・」
シカマルはそう言って両腕を組む。
「芹名はこいつに何も言わずに行っちまったもんだから、ずっとこんな調子だ。さすがにちょっと、
ほだされちまってる部分もあるんだが・・・」
どうも放っておけなくてな。
そう言ったシカマルに、テマリがふんっ、と鼻を鳴らす。
「お前は、本当に甘い」
「まぁ、な。自覚はあるさ」
自嘲的に笑い、シカマルは重吾を見やう。
「悪いが、離してやってくれ。こんだけの面子がそろってりゃ、何もできないだろ」
重吾は一旦サスケを見やってから、頷き、その手を離す。
そして、時谷の腕を掴むと身体を引き上げ、その場に座らせる。
それを確認しつつ、シカマルは口を開く。
「ナルトは巫女様とやらに、似ているのか?」
その言葉に、ナルトが思い出したように「あっ・・・」と声を漏らす。
その場にいる全員も、一斉に時谷を見やう。
皆に注目され、時谷はビクリと身体を振るわせつつもしっかりと頷いた。
「そうか・・・。ナルトは父親似だと聞いていたんだがな」
シカマルはそう言って、手元の資料をペラリと捲る。
「五代目の記憶だと、うずまきクシナは赤茶の髪に明るい栗色の瞳だったらしいが・・・」
ナルトは四代目と同じ、金色の髪に青い瞳をしている。
カカシ曰く、全体的な雰囲気も、歳を重ねるごとにナルトは四代目に似てきているらしい。
「確かに、巫女様は赤毛の髪に、栗色の瞳・・・。ナルト様とは、違います・・・。でも・・・」
時谷はそう言って、そっとナルトを見やう。
「お会いになれば、きっとわかります。あ、でも、・・・雰囲気は、ちょっと・・・違うかも。巫女様は
もう少し落ち着いた雰囲気が・・・」
思わずそう口にしてしまったらしく、時谷は慌てて両手で口を塞ぐ。
「あははっ、まだナルトちゃんはガキなんよ。コロコロ表情変わって面白行ったらっ」
そう言って、バンバンと畳を叩きながら笑い出したのは香燐。
「なっ、俺はガキじゃねぇってばよっ」
ナルトが両手を握り締め、香燐に食って掛かると、
「そういうところが、ガキなんだ・・・」
と、呆れたように呟いたのはサスケ。
「ガキじゃん」
「だな・・・」
カンクロウとテマリも何故か納得したように頷く。
我愛羅は、そっと視線を逸らせたりしている。
「もうっ、みんな、何だってばよぅっ・・・」
頬を膨らませ、臍を曲げたナルトの頭にポンと大きな手がのった。
「大丈夫だ。みんな、本当はわかっている」
そう言って、優しく頭を撫でたのは重吾。
「ちょっとっ、重吾っ!何一人だけいい子ちゃんしてんのだっ。って、何ドサクサに紛れてナルト
に触ってんのっ」
香燐はそう叫んでから、ハッとしたようにサスケを振り返る。
「ぎゃあっ、サスケ、ちょっ、写輪眼はやばいってっ!ほらっ、ちょっとした重吾のお茶目なん
よっ。って、重吾あんたっ、とっととその手離しっ」
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