小説(long)
□一片に、舞う プロローグ
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プロローグ-3
「サスケっ、サスケぇっ!!」
身体を強く揺さぶられ、サスケはカッと目を見開く。その瞳から、幾筋もの涙が伝い落ちる。
「サスケっ!」
滲む視界に映るのは、泣きじゃくったナルトの顔。
自分がそのナルトに抱えられていることに、サスケはようやく気付く。
「ナル、ト・・・」
思わずその手を伸ばし、ナルトの髪に、触れた。
「お前、急にっ、倒れる、からっ・・・」
ナルトは鼻を啜りながら、不安そうな目でサスケを見つめる。
さっきまで、戦っていた相手に、こいつは何してやがんだ・・・。
サスケはふと、そんなことを思う。
「何、で・・・、お前、は・・・」
ボロボロの、ナルト。
傷だらけの、顔。
その顔が、涙と鼻水で、グシャグシャになって・・・。
「お前、イタチと、会ったの、か・・・?」
サスケは身体を起こし、僅かな躊躇の後、ナルトの両頬をその手で包む。指先で流れる涙を拭いながら、
その青い瞳を除きこむ。
「イタ、チ・・・?」
「そう、だ。イタチに会って、何かされなかったか?」
「でも、イタチは・・・」
ナルトは瞳を伏せる。
「イタチは俺に殺される前に、お前と会っていたはずだ」
そう言いきられ、ナルトは「えっと、・・・」と呟きながら僅かに思案する。そして、しばらくして、
「あっ!」と声を上げた。
「会ったんだな?」
「あ、会ったってば、・・・。結構、前、だけど・・・。会って、んでもって、うわっ、思い出したっ!」
ナルトはそう叫んだ途端、ぐえっとその顔を顰めた。
「何、されやがったっ・・・」
「うぇっ、そうだってば、真っ黒い鳥、口ん中押し込まれて・・・。色々あって、忘れてたってば、よぅっ」
ナルトはそう言って、げぇげぇと何かを吐き出そうとする。
「もう遅いんだよ、ウスラトンカチっ・・・」
サスケはぺしっとその両頬を叩き、立ち上がる。
「サス、ケぇ・・・」
ナルトは座り込んだまま、サスケを見上げている。
本当に、こいつは・・・。
サスケは大きく息を吐き、そして両腕を伸ばす。
それを嬉しそうに掴み、ナルトが立ち上がる。
向き合ったナルトを、サスケは睨みつけた。
「俺は、本気で、お前を殺そうとしたんだ・・・」
そう、本気、だった。
そして、そうするだろうと予測していたイタチは、そのためにサスケが九尾に接触しようとしたとき
術が発動するよう、ナルトに仕掛けを施していたのだ。
「でも、俺は、信じてたってばよ・・・」
ナルトは掴んだサスケの腕を、ギュッと握り締める。
「馬鹿かっ、お前は!俺はっ・・・」
「馬鹿でも、いいってばっ!!」
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