小説(long)

□一片に、舞う プロローグ
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ただ、散り逝くだけの、運命だと思っていた。
あなたと出会う、前までは。


□□ 一片に、舞う □□


プロローグ-1


“九尾”を巡る暁との戦いの果て−−−。
サスケは再び、木の葉の里を出ることを、選んだ。



ナルトと共にうちはマダラと戦い重症を負ったサスケは、一旦は木の葉の里に収容されていた。
けれど、その怪我も治り始めた頃、サスケは静かにそこを出た。

抜け忍として火影の監視下に置かれていたサスケだが、木の葉の里もペインの襲撃により大きな
打撃を受け、混乱、していたのだ。
そのため、抜け出すのはそれ程難しいものではなかった。
もちろん、火影本人を筆頭に、何人かはそれに気付いていたのだろうが、恐らくわざと、見逃さ
れたのだろう。


久しぶりの、外の空気。
サスケはゆっくりと目を細める。
そこに静かに現れた、三つの、影。


「よう、サスケ。怪我はもういいのかよ?」

最初に言葉を発したのは、水月だった。少し、はにかむように、笑う。
黙ったままのサスケに、その隣に立つ重吾が手を伸ばす。
未だ全身に包帯を巻くサスケに、肩を貸そうと、する。
しかし、サスケはその手を遮り、ゆっくりと三人を見やう。

「なぜ?」

ここに、いる・・・?

「なぜって、行くんでしょう?あたしらを置いていく気?」

香燐が拗ねたように口を尖らせ、サスケに歩み寄る。

「そりゃ、ないぜぇ、サスケ」

ケラケラと笑いながら、水月もぴょんと跳ねるようにしてサスケの傍らに立つ。


サスケは大きく溜息を、付く。

「俺は、お前達を、裏切ったんだ」

そう、その手を振り切り、マダラとともに自分は・・・。


「俺達は、裏切られたとは思っていない。そこまで浅はかでは、ない」

重吾はそう言って、静かにサスケのもう傍らに、立つ。

サスケが怪我を治癒しきれていない自分達を巻き込まないために、一人で行ったのだということく
らい、わかっている。
だから、・・・

「今度は、死んでもついて行く」

重吾の言葉に、水月、香燐も黙ったまま頷く。


それでもサスケは首を振る。

「もう、“鷹”の目的は、なくなった。一緒に行く、理由は、ない」

サスケの言葉は、静かな暗闇にそっと、響く。


静かな、沈黙。
けれど、それは直ぐに三人の大きな笑い声に、かき消される。

「ばっかじゃねぇのっ!」

「お前は、馬鹿だな」

「そんなバカなサスケも格好良いけどっ!」


理由なんて、要らない。
一緒に、いるのだと、決めていたのだから・・・。
今さら一人になんて、させない。

そう、もう、誰が何と言おうと、理由などなくとも、『仲間』なのだから。
当たり前の、こと。



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