小説(long)

□君を思う、あの空の下
1ページ/19ページ

【最終章】帰る場所(下)


「パックンからの連絡、遅いですね・・・」

ヒナタが心配そうにカカシを見やう。


カカシ達は既に、キバ・シノの二人とも合流し、お互いの情報を交換し合った。
二人の得た施設内の情報と、サイの知る情報をすり合わせ、捜索ポイントは数箇所に
絞り込むことができた。その上で、再び二手に別れ、さらに調査を進めていたのだが、
その結果は余り芳しいものではない。

施設内には確かに、部分的に警備が現順にされている箇所がある。中には、結界が
張られていたり、幻術による目晦ましが仕掛けられている場所もあった。

カカシ、ヒナタ、サイの三人が当たった場所は、ほとんどが新術や薬物を研究する
部屋、それらに必要な書物、物資等が保管されている場所だった。
『魔玉』がある可能性は高い、と思われた。
しかし、ヒナタの白眼では、それらしいものを確認することは出来なかったのだ。


再び落ち合ったキバ、シノの二人もゆるゆると首を振る。

「こっちは、サイの言っていた通り、怪しい訓練施設だらけでしたよ。とても、そんな
ものがあるような場所じゃありません」

キバはそう言ってシノを見やう。シノは黙ったまま頷く。


「そう、か・・・」

カカシは小さく溜息を付く。

「あとは、ダンゾウの近辺くらいか・・・」

ダンゾウのテリトリー。そこは施設の中でも最も警備が厳しい、場所だ。
根の者も、何人か張っているだろう。
ダンゾウと接触する可能性も、高い。
この状態で、そこに踏み込むには、危険が大きい・・・。


カカシは腕を組む。

(何か、あったのか・・・?)

既に、相当の時間が経っている。
パックンならば、何かあればすぐにカカシと連絡が取れるはずだ。しかし、あれから
何の音沙汰も、ない。
カカシは静かに巻物を取り出し、それを何度か宙に浮かせ、印を結ぶ。
しかし・・・。

(召喚、できない・・・。どういう、ことだ・・・?)


カカシの厳しい表情に、その場の皆が僅かに顔色を変える。

「まさか、こちらの動きが、筒抜けなのでは・・・?」

シノが呟く。


そう、事は余りにも容易に、進み過ぎている。

「警備が薄い、とは思ってたんだ・・・」

キバはそう言って、構えを取る。その視線の先には、サイ。

「サイ、てめぇ、・・・俺達を、嵌めたのか・・・?」

サイは、黙ったまま俯く。

「キバくんっ、そんなことっ・・・」

ヒナタが思わず、叫ぶ。
サイは黙ったまま、何も言わない。

「俺だってっ、信じたく、ねぇ・・・。けどよっ、そいつは“根”、だっ・・・」

ダンゾウの、手下、なのだ・・・。
キバは、唇を噛み締める。

「信じたてぇ、よ・・・。こいつとは、焼肉食った仲だし、な・・・。俺、は・・・」

キバの言葉に、サイは顔を上げる。

「僕、は・・・」



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ