小説(long)

□君を思う、あの空の下
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大好きで、大切で、どんなことがあっても、守りたくて。
辛いことがあっても、悲しいことがあっても、それでも、帰るところは此処しかなくて。
泣いたり、笑ったり、全部、残しておきたいから。

いつかきっと、みんなを、此処を守れるようになるんだと、
そのために、強くなるんだと、誓った。


きっと、・・・そんな僅かな願い。
いつまでも、・・・永遠なんて、信じている訳じゃないけれど。
それでも、・・・確かにあった、もの。


誰もが、望む。

きっと、いつまでも、それでも、・・・望む、もの。



いつも、願う。いつも、思う。いつも誰かのために、その幸せを−−−。

自分が自分であるために。

そして、あなたが、あなたであるように−−−。



『君を思う、あの空の下』




【最終章】 帰る場所(上)


「全然、動きがないってばね・・・」

なるとは暗闇の中、溜息とともに小さく呟く。

「おい蒼(ソウ)、気を抜くな」

サスケはそう言って、コツンとなるとの頭を拳で叩く。
その顔には狐の面。二人はそれぞれ蒼と聯(レン)の姿で暗部服に身を包んでいた。
サスケもその顔には鳥の面をつけている。

「今は護衛任務に集中しろ」

そう、どこに何者がいるかわかったものではないのだ。


二人は現在、暗部として火の国のとある大名家の護衛任務についていた。
もちろん、それは表向きの任務である。
暗部副部隊長であるネジの協力で、二人は暗部に入り込み、こうしてこの屋敷の護衛
任務に就くことができたのだ。


『如月(キサラギ)家』−−−。
二人がいる当大名家は、かつては火の国でも有数の勢力を誇っていた。
但し、現在の当主は、若干二十歳そこそこの青年である。
名は、如月修一郎。
かつては火の国の王の側近にまで成り得た大名家ではなるが、数年前に当時の当主が
流行り病で急死してからは、徐々にその勢力も弱まり、今では歴代によって築き上げ
られた大名という地位を細々と守っているような状態である。

いや、実際には大名としての力などほとんど失ったも同然のような状態だ。
修一郎はどうやら権力といったものには何ら興味がないらしく、日々、好きな書籍集め
に勤しむ生活を続けている。

正直、忍びが護衛に就く程の家では、ない。
しかし、木の葉の里は長年、暗部の忍を派遣し続けているのだ。
それは、五代目火影である綱手さえ、つい最近まで知らなかったことだと言う。
ある者の身辺を調査する上で、この如月家との繋がりが発覚したのだ。

そして、一つの事実が、今、なるととサスケがここにいる理由、である。



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