小説(long)

□君を思う、あの空の下
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【第2章】存在、その証


「この結界、うちはサスケか・・・」

綱手はその結界に触れる。

「ご丁寧にまあ、3重、いや4重か・・・。それも最後のやつは“裏”か」

器用な奴だ・・・。


「いやぁ、ここまでするとは思わなかったんですがね・・・」

隣に立つカカシも結界を見るなりため息を漏らす。

「まあ、サスケも大蛇丸と3年近く一緒にいましたからねぇ。こういうのは得意な
んですよ、多分」

「そうだな。この結界の徹底した歪みっぷりは大蛇丸そっくりだ」

綱手もつられて大きなため息をつく。


そんな二人の会話に、さらにため息をつく者たち。

『“九尾の繭を封印”する』

五代目火影、綱手の決断はうずまきなるとに近しい者だけに伝達された。
状況が状況だけに、速やかに遂行しなければならない−−−。
この場にいる者たちは、それぞれの思いを抱えつつ、覚悟の上集まってきた者たちだ。
しかし、状況は“封印”どころではなくなっていた。

九尾の繭に張り巡らされた結界。おそらくそれは、昨夜のうちに張られたもの。
そして、今朝方入った報告では、昨夜から“うちはサスケ”を監視していた暗部数人
が幻術に陥った状態で発見された。つまり、昨夜から現在まで、うちはサスケは
行方不明、ということだ。

「この状況をどう判断するか・・・」

綱手は再び大きくため息をつく。


「結界を張ったのがうちはサスケだとすると、やはりうちはサスケはこの結界の
中にいると考えて良いのでは?」

綱手の背後から結界の様子を窺っていたシズネが口を開く。

「それに、結界がまだ張られたままだということは、彼はまだこの中で生きている
ってことですよね・・・」

「もしそうなら、なるとの生存の可能性もあるってことよね?」

イノが乗り出す。

「んな簡単じゃねぇぜ。めんどくせーけど」

それを制したのはシカマルだ。

「まーだ、結界ん中でうろちょろしてっかもしれねーし、九尾に拘束されている可
能性もあるだろ。そもそも今の話はサスケがこん中にいるって前提での話だ」

「ちょっと、シカマル!」

イノは慌ててサクラを見る。

「大丈夫よ、イノ。シカマルの言う通り。安易な判断はできないわ」

サクラは唇をかみ締める。


「ヒナタ、白眼で何かわからないか?」

シノはヒナタを見る。

「ダメ、みたい。繭すら確認できないよ」

申し訳なさそうにヒナタはつぶやく。

「結界にはサスケのチャクラが練り込まれているからな。さすがの日向の白眼も
同じ血継限界には利かんだろう」

綱手は三度目のため息をつく。


「ここで考えていても仕方ないか・・・。とりあえず一旦里に戻るぞ。シズネ、ここ
には監視を置け。何かあったらすぐ報告するように伝えろ」

「御意」

「お前たちもだ。散れ。後ほど連絡する」

一斉に気配が散る。

静けさだけが、その場に残った・・・。



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