小説(short)
□セカンド
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□□ セカンド □□
「なんでサスケがウチにいるってばよ・・・」
ナルトは思わず、呟いた。
二週間に及ぶ大名の護衛任務を終え、今日こそは布団で寝れるぞと、疲れた身体を引き摺ってボロ
アパートに帰ってきたナルト。
けれど、玄関の鍵は何故か開いていて。
まぁ、取られるものなど何もないからと、鍵の閉め忘れはしょちゅうのこと。けれど、さすがに
二週間も家を空けることがわかっていて、それを確認せずに出てきたとは思えない・・・。
警戒しつつ、足を踏み入れ、部屋の中を覗き込む。と・・・。
何故か、自分のベッドの上には、サスケ。それも、ぐっすりと眠っている。
ナルトは目を見開いたまま、その場にへたりと座り込んだ。
うちはサスケ、が木の葉に戻って来て既に半年。
最初の三ヶ月は上層部の監視下に置かれ、壮絶な尋問が繰り返されたと聞く。
里抜けは、忍の世界では大罪だ。
ただ、当時のサスケはまだ12歳。大蛇丸の策略があったことも考慮され、そのこと自体の罪はそれ
ほど問われなかった。
けれど、サスケは本来の目的だったイタチへの復讐を終えても尚、木の葉には戻ってこなかった。
それどころか、暁の一員として一時的とは言え、行動している。
それは、明らかに木の葉に敵対したものと見なされる。
いや、実際、サスケは木の葉を潰そうとしていたのだ。それは、紛れもない事実。
正直、ナルトには何があったのか詳しい事はよくわからない。
それでも、うちはマダラとの戦いを経て、サスケは木の葉へ、ナルトの元へと戻ってきた。
もちろん、色んなことがあった。
言葉では言い尽くせないほど、たくさんのことがあったのだ。
それでも、やっと、サスケを取り戻した−−−。
ナルトは音を立てないように気をつけながら、ベッドの端まで這って行く。
そして、そっとその寝顔を覗き込む。
「お前も、疲れてんだろうなぁ・・・」
堅く目を閉じ、ぐっすりと眠るサスケの横顔には、疲労が色濃く滲んでいる。
そう、それもそのはず・・・。
サスケは今、里の信頼を取り戻す為に必死なのだ。
五代目火影である綱手やナルトたち仲間が上層部への説得を繰り返し、何とか尋問からは解放され
たサスケだったが、決して無罪放免となった訳ではない。
今尚、その見は暗部の監視下に置かれている。
そして、木の葉への忠誠心を確かめるべく、無謀なまでの任務がひっきりなしに与えられているのだ。
それを、サスケは全て、こなしている。ただ、黙々と・・・。
だから、サスケが里に戻ってきてからも、ナルトはほとんどサスケと顔を合わせていなかった。
いや、ナルトだけではない。サクラも、他の仲間たちも。
これはサスケの試練なのだと、綱手は言った。
一人で越えねばならないことも、あるのだと。
ナルトはそっと手を伸ばし、僅かに戸惑いつつも、そっとサスケの髪に触れる。
自分のよく知っているサスケの顔よりは、随分と引き締まり、精悍になった。
意外と長い睫毛、通った鼻筋。
僅かに開いた、唇・・・。
そこに思わず指先で触れてしまいそうになり、ナルトはハッとしていその手を引く。
が、一瞬早く、それは何かに掴まれる。
「サスケっ・・・」
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