小説(short)
□If・・・
1ページ/3ページ
■■ If・・・ ■■
「お前を、信じているよ」
「お前だから、大丈夫だ」
“九尾”をその身に宿し、生きるしかない俺に、かけられた、言葉。
「お前は強いから」
「お前なら、大丈夫」
何で、そう、思うの?
泣いて縋れば、助けてもらえたの?
弱ければ、全て、許してもらえたの?
本当は、いつだって泣きたかった。
好き好んで、笑っていた訳じゃない。
泣いてすむなら、いくらでも泣いた。
泣き叫ぶくらいで、手に入るのなら、声をからしてでも泣いた・・・。
それでも、何も変わらない。
泣いて許される人もいる。泣いて縋れば、助けてもらえる人がいる。
けれど、それが許されない者も、いる。
その、境界線はどこ?
『お前は強いから』
『お前だから、当たり前』
その、境界線は、どこにある?
『それが、お前だから』
『お前は、泣いたりなんかしないだろ』
『お前は、そういう奴だ』
何も、感じていなかった訳じゃない。
辛かった、悔しかった、自己嫌悪もあった。
泣いて、縋りたいことも、あった。
それでも、“頑張ったこと”すら、“当たり前”になるの?
欲しいものは、哀れみや同情なんかじゃない。ただ、認めて欲しいだけ−−−。
『だから、認めてるだろ』
『だから、耐えて、当たり前』
信頼は、時として人を傷つける。
“信頼”という言葉だけで、その“強さ”を肯定するの?
好きで『強く』なった訳じゃない。
.