小説(short)

□その先へ
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□□ その先へ □□


「あれは、何だ・・・?」

サスケの問いに、大蛇丸は薄気味悪い笑みを浮かべ、サスケを見やう。

「あれって、何かしら?」

「とぼけるなっ・・・」

サスケは思わず大蛇丸を睨みつける。瞳が漆黒から赤へと変わる。
それを見て、大蛇丸はわざとらしく肩を竦めた。

「あの子の中にいる化け物に、会った、のね・・・」



そう、つい先ほど、拠点を置いていたアジトに、木の葉の忍が何人か入り込んだのだ。
既に、何度か見知った顔ぶれ・・・。
大蛇丸にとっては、木の葉の忍など大した興味はない。けれそ、その中に九尾の忌み子がいると
なれば話は別、だ。『人柱力』とも呼ばれる、それ・・・。
力を求める者にとって、その存在は『特別』だった。

しかし、大蛇丸にとってはそれだけではない。
あの金色の髪、青い瞳・・・。それは大蛇丸に思い出したくもない、ある人物を彷彿とさせるのだ。
その子どもがサスケの元スリーマンセルの仲間であったこと、それすらが何かが謀られていると
しか思えないほど・・・。

既に、アジトに踏み込まれるほんの少し前、大蛇丸は直々にその子どもの相手をしていたのだ。
想像して以上に、九尾化したそれは、手強かった。
忌々しい存在・・・。

(親子して、私の邪魔をする気なのかしらね)

思わず、自嘲的な笑みが漏れる。



再び、ゆっくりとサスケを見やう。

サスケが全てを切り捨て、大蛇丸の元に来て2年半。
大蛇丸の期待通り、サスケは確実に強くなった。
サスケの願いは一つ。一族を滅ぼした兄、“うちはイタチ”を殺すこと−−−。
そのための力を欲し、自らの身体を大蛇丸に捧げたのだ。

けれど、大蛇丸は気づいていた。
サスケは全てを切り捨ててなど、いない。いや、本人はそのつもりなのだろうが・・・。


「本当に、しつこい子たちね・・・。まだ、あなたのこと諦めない気よ。でも、サスケくんもまんざらじゃ
ないのかしら?ご丁寧にお相手までしてあげて」

大蛇丸はそう言って、くくっ、と咽喉を鳴らす。


その瞬間、サスケの左手が大蛇丸の襟首を掴んだ。

「答えろっ!」

サスケの右手にはみるみる青いチャクラが集まり出す。

「怖いわねぇ。教えてあげるから、手を離しなさい」

声色を変え、大蛇丸がサスケを見据える。


しばしの睨み合いの後、サスケはゆっくりとその手を離した。



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