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□切願 Afterwards
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□□ 切願 Afterwards □□


「あ、れ?何で、だってば・・・?」

任務明けの心地良い脱力感に身を任せうとうとし始めた頃、何故かふっと感じたチャクラ。
よく知ったそれは、確かにあいつのもので。
でも、・・・。

ナルトは身を起こし、ベッドサイドのライトに手を伸ばす。
小さな部屋に僅かな灯りがともり、ナルトは目を細めつつ、壁に掛けられたカレンダーを見やう。

(アイツの任務、明後日までなのに・・・)

日付を追いながら、ナルトは首を傾げる。
けれど、確かに感じるそれ。
自分がそれを間違えるはずは、ないのだ。

そして、それは確かにこちらに向かっていて。
眠い目を擦りながら、ナルトはベッドから足を下ろす。

「サス、ケ・・・?」

そう、呟いた時には、玄関でカチャリ、と鍵が開けられる音。

「悪い、起こしたか・・・」

そう、声がして、ナルトは思わず笑みを浮かべる。

「寝てて、いいから」

その声の主は、そのまま玄関の横にある風呂場へと入っていったようで。
勝手知ったる何とやら。
直に水の流れる、音。

ナルトは笑みを浮かべたまま、ゴロンとベッドに横になる。
けれど、もちろん眠るつもりなど、ない。
理由はわからないけれど、自分が居る時に帰ってきてくれたことが嬉しい・・・。

そもそも、今回サスケに与えられていた任務は三週間にも及ぶもの。状況によって任務期間が多少
前後しても何ら不思議はない。
本来、予定通りであればすれ違いでナルトには一週間の任務が入っていて。つまり、一ヶ月近くは
会えないだろうことを覚悟していたのだ。


二人は現在、何故かナルトの小さなアパートで一緒に暮らしている。
九門家での長い任務を終えて戻ってきたナルトの家に、サスケが当たり前のように任務を終えて帰
ってくるようになったのは既に半年程前のこと。

サスケは暗部に入ってからは、暗部専用の宿舎に寝泊りしていたらしい。
けれど、上層部の一部の人間の策略により、勝手に婚約者を用意された上、ご丁寧にも豪華な屋敷
まで準備されていて。
もちろん、サスケはそこで生活することを余儀無くされた状態だった。

だから、初めはサスケがその婚約者から逃げているんだと、思っていた。
だからナルトも、少し意地になってそんなサスケを受け入れていたのだ。
もう、サスケを手離すつもりなどなかった、から。

けれど、実際にはナルトが里に戻った頃には、既にその婚約者は実家へと戻っていたようで。
サスケが何をしたのかは、知らない。
今でも、それはナルトからは聞いていない。


一緒に暮らし始めたとは言え、サスケは相変らず暗部に身を置いていて、月の半分は里外の任務に
就いている。
ナルトも長く里を空けていた分、任務が立て込んでいて。
結局、こんな生活をしていても一緒に眠れるのは月に1,2度のこと。
それはとても、貴重な時間。
そんな時間を手離す気にはなれなくて。


カチャ、と音がして、サスケが髪を拭きながら姿を現す。

「寝てていいって、言ったろ・・・」

そう、呆れたように呟きながらも、そっとベッドに腰掛けて。
手を伸ばして、「へへっ」と笑うナルトの髪を撫でる。

「ウスラトンカチ・・・」

ふわり、と石鹸の香り。

「ウスラトンカチ、言うな・・・」

頬を膨らませてそう呟いたナルトの身体を組み敷く。

「んっ・・・っ」



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