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□Secret love affair
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□□ Secret love affair □□
「サイぃ、これは何だってば、よぅ・・・」
受け取った包みを開け、ナルトは思わず大きな溜息をつく。
「何って、僕お手製の“サスケくん人形”です。よく似ているでしょう?」
確かに・・・。
もちろん、あくまで布製の人形だからデフォルトされているけれど、うん、服なんかよく出来てる。
この間久しぶりに会ったサスケまんまだってばね、って・・・、
「ちっがーうっ!何でこんなもん作ってんだってばっ。そんで、何で俺に渡してるんだってばよっ」
「だって、ナルト元気ないから。サスケ君と会ってから、何か寂しそうだし・・・」
サイの言葉に、思わず息を飲む。
(何、言っちゃってるの、こいつ・・・)
まじまじと見つめ返すナルトに、サイが困ったように首を傾げる。
「喜んでくれると、思ったんだけど・・・」
その表情に、悪気がないことだけは、わかる。でも・・・。
手にした人形を見つめ、ナルトは二度目の溜息をつく。
先日、ヤマト隊長を筆頭とした、ナルト、サクラ、サイの臨時第7班は、サスケとの接触に成功した。
けれど、サスケの圧倒的な強さの前に手も足も出ず、いとも簡単に逃げられてしまった。
それに・・・、
“サスケを取り戻す!”
そう、心に強く決めていたはずなのに、変わらずイタチへの復讐しか考えていないサスケを目の
当たりにして、正直、かなりへこんでいたのも事実だ。
(俺ってば、何、してたんだろう・・・)
地雷也と共に修行の旅に出て、自分も随分と強くなったと思っていた。
絶対、サスケを取り戻すんだと、力づくでも連れ戻すんだと、意気込んでいた自分。
(けど、どうすることも、できなかったって、ば・・・)
驕っていた、自分。
結局、何も、できなかった・・・。
「ナルトは本当に、サスケ君のことが好きなんですね」
サイの言葉に、ナルトは思わず顔を上げる。
「あれ?違うんですか?僕はてっきり・・・」
「な、な、何言ってるってばっ!何で俺がっ・・・」
何故か、心臓がどくんどくんと煩いくらいに高鳴る。
「そ、そんなんじゃっ・・・」
ない・・・?
(何だって、ば・・・)
心臓が、痛い。胸が、苦しいって、ば−−−。
「好きじゃないなら、何であんなに必死にサスケ君を追いかけてるんですか?」
何で、って・・・。だって、・・・。
「仲間、だから・・・。サスケは、大切な、仲間だから・・・」
自分で言葉にしても、その違和感に気づく。
な、に・・・?何、で・・・。
だって、仲間・・・だから・・・。そんなこと、わかりきってることだって、ば・・・。
「ナルトって、人のことは何だかんだ言ってくるくせに、自分のことは全然わかってないんですねぇ」
サイが呆れたようにナルトを見る。
「疎い僕にもわかることなのに・・・。ナルトって、本当に『馬鹿』だったんですね」
「てめっ・・・。ち、違うってばっ。俺、ホントにっ・・・」
再び、ズキリと胸が痛む。
だって、本当に、そんなこと、考えたこともなかったってば・・・。
俺が、・・・なんて。・・・サスケを“好き”、なんて−−−。
だって、ずっと喧嘩ばっかしてて。いつもスカしたヤロウで気に食わないって、思ってて・・・。
「絵と同じように、その人形が実体化でもしてくれるといいんですけどね」
サイが溜息混じりに呟く。
「ナルトって、サスケ君とちゃんと向き合ったこと、あります?意地張ってばかりいると、本当に
失っちゃいますよ?」
大切な、こと。
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