短編

□切り裂きジャック
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西洋の街が立ち並ぶ一角のある広場で、子供たちは遊んでいた。


その遊びは、切り裂きジャック。


これは、実際にあった事件をもとに作られた遊びだった。


事件のことは、知っている人も多いだろう。
それは100年以上も前にあった、売春婦5人をバラバラ殺人にした連続猟奇殺人犯の名前。名前と言っても、ジャックという人物が犯人なわけではなく、日本でいう「名無しの権兵衛」、つまり、名前のわからない男性の呼びななのだ。


「切り裂きジャックがやってくる


霧とともにやってくる


真夜中零時にやってくる


ひとり歩きはあぶないぜ


霧が晴れたら真っ赤っか


夜とともに消えていく


そいつの名前は……


ジャック・ザ・リッパー!!」



子供たちが、陽気に歌をうたいながら駆け回っている。


その子供たちを、一人の女性が、遠巻きに見ながら、広場を横切るのだった。

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