西洋の街が立ち並ぶ一角のある広場で、子供たちは遊んでいた。 その遊びは、切り裂きジャック。 これは、実際にあった事件をもとに作られた遊びだった。 事件のことは、知っている人も多いだろう。 それは100年以上も前にあった、売春婦5人をバラバラ殺人にした連続猟奇殺人犯の名前。名前と言っても、ジャックという人物が犯人なわけではなく、日本でいう「名無しの権兵衛」、つまり、名前のわからない男性の呼びななのだ。 「切り裂きジャックがやってくる 霧とともにやってくる 真夜中零時にやってくる ひとり歩きはあぶないぜ 霧が晴れたら真っ赤っか 夜とともに消えていく そいつの名前は…… ジャック・ザ・リッパー!!」 子供たちが、陽気に歌をうたいながら駆け回っている。 その子供たちを、一人の女性が、遠巻きに見ながら、広場を横切るのだった。 |