短編夢部屋
□拍手お礼SS
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四つ葉のクローバーに
想いを乗せて
「本当にあるんだね。四つ葉のクローバーって。初めて見たよ。」
まだ四つ葉のクローバーを見たことがないといったJの言葉を思い出して、学校の裏庭を探してみたら、割りとすぐにそれは見つかった。
「・・・昔から得意なんだよ。四つ葉を見つけるの。」
「すごい特技だね。キミは『幸せ』探しの名人なのかもしれないよ?」
ああ、クローバーを片手にそんな素敵な笑顔を見せないで欲しい。
『幸福』の代名詞、四つ葉のクローバーだって、私にしてみれば、貴方に会うための口実でしかないのに・・・
「・・・・ねえ、J・・」
「なに?」
「四つ葉のクローバーの『幸福』以外の花言葉って知ってる?」
「え?・・・」
「・・・『私のものになって』っていうんだよ。」
「・・・・・。」
「っごめん・・・帰るよ私!変なこといって本当にごめん!それ、Jにあげるから捨てるでもなんでも好きにして!」
あーもう!恥ずかしすぎるし、柄じゃない!!花言葉も、花も、貴方も・・・
きっと、こんなガサツで女の子らしさの欠ける私には似合わない・・・
貴方の隣にはきっと、もっと綺麗で、可愛くて、花のような女の子が似合う
「あ、あのさっ・・・」
椅子から立ち上がって、鞄を掴んだ私の手首を、Jの手が咄嗟に掴む。
私は、いよいよフラれてしまうのか
そう覚悟を決めた。
「明日、一緒に探しにいこうよ。」
「・・・・え?」
「四つ葉の探し方も教えて欲しいし、この四つ葉のお返しもしたいから・・」
「・・・・それって・・」
「ぼくも、キミに『幸福』をあげたいし、『ぼくのものになって』欲しいから・・」
「っ・・・」
どうしよう・・・泣きそうだ
私の『幸福』なんて、貴方がそうして笑ってくれるだけで充分だ
そういったら、彼は「ぼくも、そうなんだ。だから笑って・・」といった。
涙が止まらなかったから上手く笑えたかわからない
でも、間違いなく『幸福』はそこにあった
二つの四つ葉のクローバーが、春の温かな風に吹かれて揺れていた
end